最新記事

感染爆発

NY州の新型コロナウイルス死者最多に、感染者13.8万でイタリア超え 安定化兆しも

2020年4月8日(水)16時16分

米ニューヨーク州のクオモ知事は7日、新型コロナウイルス感染症による入院者の増加ペースが安定化の兆しを示していると述べた。マンハッタンで撮影(2019年 ロイター/MIKE SEGAR)

米ニューヨーク州のクオモ知事は7日、新型コロナウイルス感染症による入院者の増加ペースが安定化の兆しを示していると述べた。しかし、死者は前日から731人増えて5489人に達し、1日当たりの死者数としてはこれまでで最多となった。

同州で確認された感染者数も13万8836人に増加し、感染者数が世界で2番目に高いイタリアを上回った。全米の感染者は7日、40万人に迫り、死者は1万2700人を突破した。ニューヨーク州の感染者は、全米全体の3分の1以上、死者は半分近くを占めている。

クオモ知事は、死者数は、感染拡大状況を数日もしくは数週間遅れて示す「遅行指標」だと述べ、入院患者や集中治療室の利用、人工呼吸器装着率の伸び鈍化は、感染防止のための人との距離を置く「ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)」の効果が出ていることを示していると指摘した。

知事は、経済活動の再開に向けた計画を始める時期に差し掛かっているとした。ただ、ソーシャル・ディスタンシングの実践をやめる時ではないと釘を差した。

知事は「自己満足は避けよう」と訴えるとともに、「ソーシャル・ディスタンシングは奏功している。だからこそ、新型コロナ感染に関する数字は下がっている」と警戒を続ける必要性を強調した。

また、ニューヨーク市のデブラシオ市長は、最悪期を脱したと判断するのは時期尚早だとしたうえで「病院に到着した時点で人工呼吸器を必要としている人の数でみると、状況はここ数日若干改善している」と述べた。

また、イリノイ州シカゴのライトフット市長も外出制限措置が効果を発揮し、感染者の増加ペースが鈍化していると指摘。同時に「ピークには近づいていない。誤った期待を高めたくない」と述べた。

ジェローム・アダムス米医務総監は7日、全米の死者数は、米疾病対策センター(CDC)の予測する10万─24万人を下回る可能性があるとの見方を示した。

*内容を追加しました。

[ニューヨーク ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・夏には感染は終息する、と考えていいのか?
・在日ドイツ大使館、日本の新型コロナ検査数の少なさを懸念
・コロナ震源地交代 死者が減り出したイタリアと、「最も辛い1週間」を迎えるアメリカ


20200414issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月14日号(4月7日発売)は「ルポ五輪延期」特集。IOC、日本政府、東京都の「権謀術数と打算」を追う。PLUS 陸上サニブラウンの本音/デーブ・スペクター五輪斬り/「五輪特需景気」消滅?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

医薬品メーカー、米国で350品目値上げ トランプ氏

ビジネス

中国、人民元バスケットのウエート調整 円に代わりウ

ワールド

台湾は31日も警戒態勢維持、中国大規模演習終了を発

ビジネス

中国、26年投資計画発表 420億ドル規模の「二大
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中