最新記事

感染症

NY市の新型コロナウイルス死者数、「在宅死」が集計漏れ

2020年4月8日(水)11時20分

米ニューヨーク市の消防当局の統計によると、新型コロナウイルス感染症のような症状で自宅で死亡した市民の数は5日に241人と、3月20日の45人から急増している。写真はほとんど人のいないタイムズスクエアの交差点を渡る男性。7日撮影(2020年 ロイター/Mike Segar)

米ニューヨーク市の消防当局の統計によると、新型コロナウイルス感染症のような症状で自宅で死亡した市民の数は5日に241人と、3月20日の45人から急増している。しかし、検査を受けていないなどの理由で、公式な新型コロナ死者数に含まれないケースも多いとみられる。

デブラシオ市長は7日の記者会見で消防当局のデータについて問われ、在宅死は公式統計に十分踏まえられていないと認めた。「大半が新型コロナに関係していると考えるのが適切だろう」とした。

消防当局の統計は、熱や咳の症状があり、心停止あるいは呼吸停止状態となった患者について緊急通報があった際に提供された情報に基づいている。これらの症状は、新型コロナ感染症が重症化した場合によくみられる。

保健当局のウェブサイトによると、市内の新型コロナ感染による死者は3月31日が309人、4月5日が290人と、最近は横ばい傾向にある。一方、消防当局のデータによると、同期間の新型コロナに似た症状によるの在宅死の1日当たり発生数は167人から241人に増えた。

NY市衛生局の広報官は、公式死者数は、新型コロナ検査で陽性反応が出た人しか含まれていないと述べ、在宅死した患者のうち何人が検査を受けたかは不明とした。

消防当局は在宅死の発生件数についてコメントしなかった。統計によると、3月20日─4月5日の期間に2192人が在宅で死亡している。4月5日時点の市内の新型コロナの死者数は2500人で、足元は3200人強に増えている。

一方、新型コロナ感染拡大に伴い、同市では緊急電話番号「911」への通報が殺到している。

消防当局の救急医療担当幹部は「果てしなく続いており、日ごとに悪化している」と嘆いた。

[ニューヨーク ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・夏には感染は終息する、と考えていいのか?
・在日ドイツ大使館、日本の新型コロナ検査数の少なさを懸念
・コロナ震源地交代 死者が減り出したイタリアと、「最も辛い1週間」を迎えるアメリカ


20200414issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月14日号(4月7日発売)は「ルポ五輪延期」特集。IOC、日本政府、東京都の「権謀術数と打算」を追う。PLUS 陸上サニブラウンの本音/デーブ・スペクター五輪斬り/「五輪特需景気」消滅?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、貿易交渉期限「確定せず」 7月9日前倒

ワールド

暗号資産の犯罪防止へ規制強化呼びかけ、国際監視組織

ワールド

主要18カ国との貿易交渉、9月1日までに完了の見通

ワールド

トランプ氏、カナダとの貿易交渉を即時終了 デジタル
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 2
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急所」とは
  • 3
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 4
    富裕層が「流出する国」、中国を抜いた1位は...「金…
  • 5
    韓国が「養子輸出大国だった」という不都合すぎる事…
  • 6
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 7
    伊藤博文を暗殺した安重根が主人公の『ハルビン』は…
  • 8
    ロシア人にとっての「最大の敵国」、意外な1位は? …
  • 9
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 10
    【クイズ】北大で国内初確認か...世界で最も危険な植…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 4
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 7
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 8
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 9
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 10
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中