最新記事

東京五輪

サニブラウンが明かした「五輪延期」への決意

LET THE ATHLETES SPEAK

2020年4月7日(火)17時00分
及川彩子(在米スポーツライター)

サニブラウンも今は気丈に振る舞っている。だが、昨年のドーハ世界陸上では決勝を逃した悔しさから、もともと今季、そして東京五輪に懸ける意気込みは大きかった。

取材で2月にフロリダを訪れた際、神妙な表情でこう話していた。「練習での弱い部分が(ドーハ世界陸上での)試合で出た。練習からちゃんと取り組まないと」。

フロリダの抜けるような青空の下、時折、汗を拭いながら、一本一本、真剣な表情でスタート練習に取り組む視線の先には間違いなく東京が映っていた。

現在も大学のトラックは閉鎖されたままで、今は大学構内の芝生で体を動かす程度にとどまっている。いつスパイクを履いて練習できるのか、大学のトラックが使用できるのか、まだめどは立っていない。

だが1年という猶予が生まれた今、サニブラウンに焦りはない。「一日一日、考えながらやっていきたい。(延期になっても)目標は変わらない。頂点を目指す」

今、世界は非常事態にある。平常の生活が送れない状況でスポーツの優先順位が下がるのは当然だ。延期に反対した選手たちもそれは理解しているだろう。安定した社会、そして支援や応援があって初めてスポーツが社会に存在する。「裸の王様」のバッハだけは、それを理解していないようだが。

<本誌2020年4月14日号「ルポ 五輪延期」特集より>

20200414issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月14日号(4月7日発売)は「ルポ五輪延期」特集。IOC、日本政府、東京都の「権謀術数と打算」を追う。PLUS 陸上サニブラウンの本音/デーブ・スペクター五輪斬り/「五輪特需景気」消滅?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベトナム株式市場が上昇、次期共産党指導部候補選定を

ワールド

欧州新車販売、5カ月連続増 EVがけん引

ワールド

ロシアの穀物輸出停滞、原因は世界的な価格低迷と副首

ビジネス

歳出最大122.3兆円で最終調整、新規国債は29.
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 5
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 10
    楽しい自撮り動画から一転...女性が「凶暴な大型動物…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中