最新記事

韓国社会

韓国、新型コロナウイルス対策でも役立った個人情報公開 性犯罪者はネットで住所も丸裸

2020年3月23日(月)19時30分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

性犯罪の予防教育や緊急時の連絡先なども掲載

また、行政のホームページといえば堅苦しく難しい用語が並んでいるイメージだが、ここでは分り易くWEB漫画などで説明を描くなど工夫がみられる。

さらに「アルリムE」では犯罪者検索だけではなく、性犯罪の予防教育や緊急の場合の連絡先なども載っていて充実した内容となっており、友人や恋人にサイトの存在を教えあっているようだ。

このようにサイトの利用者が増え知名度も上がると、犯罪者側も長期間個人情報公開の恐怖心もあり、出来心の抑制にはなっていると思われる。

一部では時代にそぐわない部分も

一方で、「アルリムE」では全体が被害者イコール女性という認識を植え付けかねない箇所がいくつかある。確かに、このホームページサービスが開始されたのは2010年であり、韓国で「性暴力の被害者は女性だけではない」と言う法律が改正されたのは、その3年後の2013年6月だ。しかし今や性犯罪は性別では分けられない時代といえる。

さらに、もしも犯罪者も罪を償い、社会復帰しようとした場合でも過去が付きまとい、うまくいかない可能性がある。同様に犯罪者の家族も周りから白い目で見られることによる問題もある。

そして、検索した側も注意が必要だ。もしも検索した結果をキャプチャーしてSNSにアップするなど、共有してしまうと処罰される可能性がある。これは「児童・青少年の性保護に関する法律第55条(公開情報の悪用禁止)」により、「性犯罪歴は確認する目的にだけ使わなければならない」と決まっており、犯罪者の個人情報をシェアした場合、5年以下の懲役または5000万ウォン以下の罰金刑になる。

実際、2016年1月には未成年者性犯罪者のオンラインにアップした30代2人組と、6月にはアルリムEの犯罪者個人情報ページを撮影し友人に送った人が罰金刑に処されている。

いくら掲載期間があったとしても、一度掲載されてしまうとデジタルタトゥーとなってこの犯罪歴は一生消えることはない。ここまで徹底的に公開されると犯罪の抑制にはなっているかもしれない。さらに児童がいる家庭では犯罪に巻き込まれないよう予防もできる。

しかし、一番望ましいのは性犯罪がすべてなくなりこのようなHPの存在が必要なくなることだ。もしも、それが難しいのなら、加害者のプライバシー権利よりも被害防止を優先されるこの方法は良策なのかもしれない。

【関連記事】
・「ビザ無効で強制退去?」 新型コロナウイルス対策でも大もめの日韓両政府に巻き込まれた人びと
・韓国、新型コロナウイルスでデマニュースから隔離生活まで 天災もネタにするユーチューバーたち
・韓国、新型コロナ激震エンタメ界も BTS20万人ライブ中止、ファンがとった行動は──/a> 


20200331issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月31日号(3月24日発売)は「0歳からの教育 みんなで子育て」特集。赤ちゃんの心と体を育てる祖父母の育児参加/日韓中「孫育て」比較/おすすめの絵本とおもちゃ......。「『コロナ経済危機』に備えよ」など新型コロナウイルス関連記事も多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

現代自、中東紛争で輸出混乱を警告 欧州・北アフリカ

ワールド

北朝鮮、イランと距離置く 紛争終結後の対米関係見据

ワールド

ウクライナの子ども連れ去り、ロシア石油・ガス大手2

ビジネス

景気判断、全9地域で据え置き=日銀地域経済報告
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙の2大テーマでAI懸念を払拭できるか
  • 2
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 3
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「攻撃的知能」を解剖する
  • 4
    トランプ、イランに合意期限「米東部時間6日午前10時…
  • 5
    地面にくねくねと伸びる「奇妙な筋」の正体は? 飛行…
  • 6
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 7
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 8
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 9
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 10
    血圧やコレステロール値より重要?死亡リスクを予測…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 3
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 4
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 5
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 6
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 7
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経…
  • 8
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 9
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 10
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中