最新記事

新型コロナウイルス

ドアノブだけじゃなく紙幣も危ない? 中国中銀が感染防止に回収・消毒

China Says It’s Now Quarantining Old Cash to Combat Spread of Coronavirus

2020年2月17日(月)14時50分
エリオット・ハノン

マスクをして人民元の紙幣を扱う銀行員(1月30日、江蘇省南通市)  China Daily/REUTERS

<ウイルスに汚染されたかもしれない膨大な数の紙幣を殺菌し、14日間密閉するという大プロジェクト>

中国の中央銀行である中国人民銀行は2月15日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、市中から回収した現金の消毒を始めたと発表した。

紙幣など物の表面に付着した新型コロナウイルスが、長時間生存できるのかどうかは明らかになっていない。今回の措置は、感染経路の可能性の1つを断つことが目的だ。

中国人民銀行によれば、古い紙幣の省をまたいだ移送を中止し、政府の倉庫で一定期間保管するなど複数の方法を用いて紙幣の安全性を高めるという。並行して新しい紙幣や硬貨を発行するという。

中国人民銀行の副総裁は15日の記者会見で、6000億元分の新しい硬貨や紙幣を発行していくと述べた。ウイルスの発生源の湖北省にはこのうち、40億元分の新紙幣が割り当てられるという。「主なウイルス流行地域から回収された現金は紫外線や熱で殺菌され、再び市中に出回るまでに少なくとも14日間は密閉される」と副総裁は述べた。

また当局は一般企業などに対し、病院や生鮮市場など感染の危険性の高い場所で使われた現金を他の現金と混ぜないよう命令を出したという。香港紙サウスチャイナ・モーニングポストは、中国人民銀行の広州の支部はさらに一歩進んで感染の危険性の高い場所で使われたすべての紙幣を処分したと伝えている。

中国政府は17日、国内での新型コロナウイルスの感染者が新たに2048人確認されて7万548人となり、死者は105人増えて1770人になったと発表した。死亡例の大半は中国国内、特に湖北省に集中している。

(翻訳:村井裕美)

20200225issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年2月25日号(2月18日発売)は「上級国民論」特集。ズルする奴らが罪を免れている――。ネットを越え渦巻く人々の怒り。「上級国民」の正体とは? 「特権階級」は本当にいるのか?

© 2020, Slate

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

政治圧力で独立性揺らぐFRB、今週FOMCは0.2

ワールド

クックFRB理事、住宅ローン申請違反の証拠なし 市

ワールド

カナダ競争局、英アングロと加テックの合併を調査

ワールド

インド貿易赤字、8月は264億ドルに縮小
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中