最新記事

新型コロナウイルス

習近平とWHO事務局長の「仲」が人類に危機をもたらす

2020年1月31日(金)16時10分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

中国で新型ウイルス肺炎拡大 WHO事務局長が訪中 REUTERS-Naohiko Hatta

WHOは30日夜ようやく緊急事態宣言を出すも、中国への渡航・交易制限を否定し、むしろ中国の努力を評価した。事務局長と習近平のチャイナ・マネーで結ばれた仲が、人類の命を危機に向かわせている。その罪は重い。

WHO、緊急事態宣言は出したが中国に実質無害

新型コロナウイルス肺炎患者の拡大に伴い、1月30日夜、WHO(世界保健機関)は再び緊急会議を開き、テドロス事務局長は緊急事態を宣言せざるを得ないところに追いやられた。

それでもなお、テドロス事務局長は記者会見で主として以下のように述べている。

1.WHOは新型肺炎の発生を制御する中国の能力に自信を持っている。

2.中国への渡航や交易を制限する理由は見当たらない。

3.しかし医療体制の整備が遅れている国への感染拡大防止を支援しなければならない。

一般に緊急事態宣言が出されれば、WHOは発生源となった国への渡航制限や物流の規制を設けてさらなる感染の拡大を防ごうとするものだ。しかし今回は全く異なり、体裁上「緊急事態宣言」をしたものの、実質的には中国への打撃を最小限に食い止めたものに過ぎない。

中国共産党機関紙「人民日報」傘下にある「環球時報」はWHOの緊急事態宣言に関して1月31日08:50の報道で「WHOは何と言ったか?」という見出しで、以下のように解説している。

――WHOは確かに緊急事態宣言を出したものの、しかしそれは決して中国に対して自信がないことの表れではない。それどころか、全くその逆で、テドロスは「中国が疫病の感染予防に対して行っている努力とその措置は前代未聞なほど素晴らしい」とさえ言っているのだ。さらにテドロスは、中国は感染予防措置に関して「新しいスタンダード」を世界に先んじて打ち出すことに成功しているとさえ言っている。

このように、むしろ「中国は褒めたたえられた」と自慢することに必死だ。

中央テレビ局CCTVもニュースで何度も以下のように報道している。

――たしかにWHOは緊急事態宣言を出したが、しかしこれはあくまでも中国以外の国での感染拡大を防止するために出されたもので、WHO事務局長はむしろ中国が現在行っている予防対策とあらゆる措置を高く評価し、「歴史上、ここまで立派にやった例はない」とまで断言し、中国を絶賛している。

このようにWHOは中国に対しては実質無害の「緊急事態宣言」を出したことになる。

習近平とWHO事務局長との緊密な仲

1月28日付のコラム<「空白の8時間」は何を意味するのか?――習近平の保身が招くパンデミック>で述べたように、WHOのテドロス事務局長(エチオピア人)と習近平国家主席とは入魂(じっこん)の仲である。テドロスは2005年から2012年まではエチオピアの保健大臣をしていたが、2012年から2016年までは外務大臣を務め、中国の王毅外相とも非常に仲が良い。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRBはAI導入に伴う構造的な失業率上昇を相殺でき

ワールド

中国軍の汚職粛清、指揮系統・即応態勢に打撃=英国際

ワールド

トランプ氏「加齢で不安定化」、米世論調査で6割 共

ワールド

ウクライナ紛争、西側の介入で広範な対立に=ロシア大
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 5
    ペットとの「別れの時」をどう見極めるべきか...獣医…
  • 6
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 7
    揺れるシベリア...戦費の穴埋めは国民に? ロシア中…
  • 8
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 9
    武士はロマンで戦ったわけではない...命を懸けた「損…
  • 10
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中