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イラクとシリアが反対表明、地域を不安定化させるトランプの中東和平案

Iraq, Syria Oppose Trump's Mideast Peace Plan, Creating Further Tensions

2020年1月30日(木)15時40分
トム・オコナー

パレスチナ自治区では大勢の人が和平案に抗議。和平案が災いの種になる危険さえある REUTERS/Ibraheem Abu Mustafa

<和平とは名ばかり、イスラエル寄りの中東和平案が、アラブ諸国を二分した。アメリカの外交政策はいったいどうなっているのか>

ドナルド・トランプ米大統領の中東和平案について、イラクとシリアが反対の意を表明。イラクとシリアはいずれも米軍が駐留し、戦闘も続いている。中東の緊張が続くなか、これらの国々で反感を買うようなことをして、アメリカはどうするのか。その外交政策を疑問視する声が高まっている。

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トランプ和平案の概念図 DONALD J. TRUMP

1月28日にトランプが発表した「平和と繁栄、より明るい未来のためのビジョン」は、国際社会が国際法違反と見なすユダヤ人入植地(ヨルダン川西岸や東エルサレム、東部国境沿いのヨルダン渓谷に建設されているもの)について、イスラエルの支配を認めている。それと引き換えにパレスチナ側が得たのは南西部の砂漠地帯と、ヨルダン川西岸とガザ地区を結ぶトンネルを建設する、という約束だけだ。またパレスチナには、東エルサレムを首都とする独立国家を築く道が開かれたが、彼らが首都にできるのは、イスラエルが首都と称する東エルサレムの中心地ではなく、「分離壁の外側の地域」だ。

和平案の作成に参加していないパレスチナの指導部は、すぐに反発を表明。アメリカと緊密な協力関係にある複数の国を含む中東各国からも、賛否両論があがった。イラク外務省は29日、反対の意を表明した。

「世紀の取引」を激しく非難

イラク外務省は声明で「イラクは、国際法と国連安保理決議によって保障されているパレスチナの同胞たちの正当な権利を支持し、彼らが故郷に帰還する権利を支持する」と述べ、エルサレムとその聖地は「今もイスラエルに占領されている状態だ」と主張。エルサレムはパレスチナの首都であるべきだとし、また「イスラエルが占領している全ての土地をシリアとレバノンに返す」よう求めた。

隣国シリアの外務省も29日に声明を発表。「いわゆる『世紀の取引』はイスラエルによる不当な占拠への降伏を意味しており、我々はこれを強く非難し、断固拒絶する」と述べた。そしてイラク同様に、国際社会に対して「パレスチナの人々の正当な権利、何より彼らの帰還権とエルサレムを首都とする独立国家樹立の権利を保障する」ための支援を呼びかけた。

アメリカは現在、イスラム過激派組織ISIS(自称イスラム国)の掃討を目指す有志連合軍の一部として、推定でイラクに6000人、シリアに800人の兵士を配備している。だが近年はISISの大部分が掃討され、さらにアメリカとイランの間で新たに緊張が高まっていることを受けて、いずれの国でも米軍の撤退を求める声が高まっている。

<参考記事>自撮りヌードでイランを挑発するキム・カーダシアン
<参考記事>米イラン緊迫化、海上自衛隊の護衛艦「中東派遣」は正しい選択だ

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