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日産、再建へ国内外の7工場閉鎖 人員削減2万人に積み増し

2025年05月13日(火)21時02分

 5月13日、業績が悪化している日産自動車は、追加で従業員1万1000人を削減すると発表した。写真は、同社本社内に掲示されているロゴ。2月13日、撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Maki Shiraki

[東京/横浜 13日 ロイター] - 業績が悪化している日産自動車は13日、2027年度までに国内外の車両工場を現在の17から10に減らすと発表した。人員もすでに公表している約9000人と併せ、同期間で計約2万人を削減する。米関税の影響で今期の損益予想は開示を見送ったが、前期は6708億円の最終赤字に転落。リストラ策を強化し、経営再建を急ぐ。

イバン・エスピノーサ社長は会見で、「業績回復は急務。当社の未来を守るためには、より踏み込んでより速く取り組みを進めていかなくてはならない」と述べた。閉鎖する工場名は明かさなかったが、国内工場も閉鎖の対象に含むとした。工場削減後も「日本は生産拠点の中核の1つとして残る」と述べた。

自動車の生産能力(現地企業と合弁の中国を除く)は24年度の350万台から27年度までに100万台減らす。協業相手の生産能力40万台分も活用し、250万台にいったん絞る。パワートレイン工場も見直し、車両工場含めて配置転換や生産シフト調整、設備投資も削減する。今月9日には、福岡県北九州市に計画していた電気自動車向け電池工場の建設中止を発表した。

連結での従業員数は約13万人で、人員の削減規模は約15%に相当する。対象は国内外の生産・一般管理・開発部門の直接・間接従業員と契約社員。

部品の種類を従来より7割削減するほか、プラットフォーム(車台)の数を35年度までに現在の13から7に減らす。平均の労務費単価を20%削減する。少数のサプライヤーでより多くの量を確保することで効率も高める。

一連の構造改革を通じ、26年度までに前年度実績比で固定費と変動費それぞれ2500億円ずつ計5000億円削減し、自動車事業の営業損益(前期は2679億円の赤字)とフリーキャッシュフロー(同2428億円の赤字)の黒字化を目指す。

経営目標が未達となった場合の経営責任を問われたエスピノーサ社長は「もちろん説明責任を負う」と答えた。

<関税影響は最大4500億円>

26年3月期の連結業績予想は、営業損益と純損益の開示を見送った。米関税の影響で合理的な算定が困難なためで、今期配当も無配予想とした。関税の影響額は最大4500億円と試算したが、対策を講じて抑える考え。

関税の影響を受ける台数は米国へメキシコから輸出する約30万台と日本から輸出する約12万台。エスピノーサ社長は、関税の影響がなければ今期は収支は均衡になるとの見方を示した。

25年3月期の純損益は、構造改革費用を計上して6708億円の赤字(前の期は4266億円の黒字)だった。最終赤字額は経営危機に陥りカルロス・ゴーン元会長の下で大規模なリストラを実施した2000年3月期、内田誠前社長の下でスペインとインドネシアの工場を閉鎖した20年3月期に次ぐ過去3番目の規模。

(白木真紀 編集:久保信博)

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