最新記事

イラン情勢

ウクライナ機は本当にイランが撃墜したのか?

Iranians Shot Down Ukraine Flight, Probably by Mistake, Sources Say

2020年1月10日(金)14時38分
ナビード・ジャマリ、ジェームズ・ラポルタ、シャンタル・ダシルバ、トム・オコナー

イラン民間航空機関はカナダとスウェーデンの調査協力も受け入れる意向を表明。だが同機関のアリ・アドベザデ局長は、回収した墜落機のブラックボックスをアメリカに渡すつもりはないと強調した。ブラックボックスには、墜落直前のコックピット内の会話やフライトデータの詳細が記録されている可能性がある。

その後、イラン政府は声明を発表。国際民間航空機関の規則に従い、諸外国の調査協力を受け入れることに加えて、ボーイングから派遣された担当者がブラックボックス(アドベザデによれば損傷している)を調べることを許可するとも述べた。

これに先立ちアドベザデは、問題の旅客機がミサイルで撃墜されたという憶測を否定。声明の中で彼は、そのようなことは「科学的に不可能で、噂は全くのナンセンスだ」と主張した。「もしロケットかミサイルが命中したのであれば、飛行機は真っ逆さまに墜落するはずだ」と、アドベザデは言う。だが操縦士は飛行機を戻そうとしたという。「ロケットかミサイルにやられた航空機が空港に戻ろうとするなどあり得ない」

カナダのフランソワ・フィリップ・シャンパーニュ外相は9日にイランのジャバド・ザリフ外相と異例の電話会談を行い、「カナダ当局者が迅速にイラン入りを認められ、遺体の身元確認を行い、また調査に参加できる必要があると強調」した。「カナダとカナダ国民は、多くの疑問への答えを必要としている」と彼は語った。

背景にある米イラン対立の歴史

カナダ外務省は、墜落機がミサイルで撃墜された可能性があると考えているかという本誌の質問に対して、回答を保留している。

だが同国のジャスティン・トルドー首相は9日、「問題の旅客機がイランの地対空ミサイルで撃墜された」ことを示す機密情報を、政府当局者が「複数の情報筋から得ている」と認めた。

その上でトルドーは、「(撃墜は)意図的なものではなかった可能性がある」と語った。「この新たな情報により、徹底した調査の必要性がさらに高まった。カナダは同盟諸国と協力して、墜落事故の原因を特定するために徹底した、信頼できる調査が行われるようにしていく」

アメリカとイランの間の緊張は、2019年末にイランの指示とみられるイラク駐留米軍への攻撃が増加したことを受けて、一気に高まった。そして1月3日にアメリカがスレイマニを殺害すると、イランは報復としてイラク国内の複数の駐留米軍基地を攻撃した。

直接的な衝突はほとんどなかったものの、両国の対立は40年前から続いている。きっかけは1979年に起きたイラン・イスラム革命で、このときテヘランの米大使館が占拠され、職員やその家族が14カ月以上にわたって人質に取られる事件があった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:欧州で若者向け住宅購入の新ビジネス、価格

ワールド

焦点:道半ばの中国「社会保険改革」、企業にも個人に

ワールド

昨年の関税合意実施を米と確認、日本が不利にならない

ビジネス

米国株式市場=続落、ダウ453ドル安 原油高と雇用
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だったはずの中国が、不気味なまでに静かな理由
  • 2
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示さない
  • 3
    10歳少女がライオンに激しく襲われる...中国の動物園で撮影された「恐怖の瞬間」映像にネット震撼
  • 4
    「みんな一斉に手を挙げて...」中国の航空会社のフラ…
  • 5
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 6
    「巨大な水柱に飲み込まれる...」米海軍がインド洋で…
  • 7
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 8
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 9
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 10
    【WBC】侍ジャパン、大谷翔平人気が引き起こした球場…
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 8
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 9
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 10
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中