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20年前、なぜ日本は「黒船CEO」ゴーンを求めたのか

Black Ship CEOs

2020年1月29日(水)18時50分
千葉香代子、大橋希、井口景子(東京)、李炳宗(ソウル)、クリストファー・スラビック(ロンドン)

再生に必要なガイアツ

もっとも、いずれは国籍を問題にすることなど無意味になるかもしれない。かつて欧州フォードとマツダが同じエンジンを開発していたとき、マツダのほうが優れているとフォードに激しく売り込んだのは、フォードから出向してきた外国人社員たちだった。

日本企業が変化する兆しもある。「昔はリストラなどもってのほかで、利益を上げることは悪であるかのような風潮さえあったが、それも変わってきた」と、GEエジソンのボールドウィン社長は言う。「外資や外国人経営者の影響も少しはあったかもしれない」

黒船に怯えた徳川幕府はペリーの求めるがままに条約を結んだが、鎖国政策を捨てたことで日本は近代化へ歩みだすことができた。マッカーサーの占領政策は、アメリカの国益を優先したご都合主義的な面が強かったが、結果として日本の民主化への道を開いた。

100年後の歴史書には、外国人社長は日本経済が再生に向かうために必要な「ガイアツ」だったと記録されるのかもしれない。

<2002年8月7日号掲載「黒船CEOが日本を変えた」より>

【参考記事】「黒船CEO」ゴーンがかつて語った――「異文化の衝突が真の変革を生む」

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