最新記事

中東

米軍、イラン支援のシーア派武装組織を空爆 追加措置も警告

2019年12月30日(月)12時00分

米国防総省はイラク北部の基地が攻撃を受けて米国人が死亡したことへの報復として、イランの支援を受けるイスラム教シーア派武装組織「カタイブ・ヒズボラ」がイラクとシリアに持つ拠点を空爆したことを明らかにした。国防総省提供撮影(2019年 ロイター)

米国防総省は29日、イラク北部の基地が攻撃を受けて米国人が死亡したことへの報復として、イランの支援を受けるイスラム教シーア派武装組織「カタイブ・ヒズボラ」がイラクとシリアに持つ拠点を空爆したことを明らかにした。

米当局者は空爆が成功したとの見方を示したうえで、米国の国益を守るため「追加措置」を講じる可能性もあると述べた。

トランプ米大統領は滞在先のフロリダ州の別荘で、ポンペオ国務長官やエスパー国防長官、ミリー統合参謀本部議長らから空爆について報告を受けた。

ポンペオ国務長官は報告後、記者団に「米国人を危険にさらすイランの行為をわれわれは容認しない」とコメント。

エスパー国防長官は空爆が成功したとの見方を示したうえで、さらなる軍事行動が正当化される可能性もあることをトランプ大統領に伝えたと明らかにした。

同国防長官は「講じ得る他の選択肢について話し合った」とし、「自衛を確実にし、武装組織やイランによる邪悪な行為を阻止するため、必要に応じて追加措置を講じる」と述べた。

イラクの治安・武装組織関係者などによると、29日の空爆でカタイブ・ヒズボラの戦闘員が少なくとも25人死亡、55人以上が負傷した。

米当局者らによると、空爆の対象となったカタイブ・ヒズボラの拠点について、イラクの3カ所とシリアの2カ所で、有志連合への攻撃を指揮した施設や武器庫が含まれると明らかにした。空爆はF15戦闘機が実行した。

イラク北部キルクーク近くのイラク軍基地では27日、30発以上のロケット弾が撃ち込まれる攻撃があり、業務を請け負っていた米民間人1人が死亡、米兵4人とイラク治安部隊の2人が負傷した。米国はこれをカタイブ・ヒズボラによる攻撃と非難していた。

国防総省のホフマン報道官は声明で「有志連合が駐留するイラクの基地に攻撃を繰り返しているカタイブ・ヒズボラに対し、米軍は防衛のための緻密な攻撃を行った。カタイブ・ヒズボラは有志連合を攻撃する能力が低下するだろう」と説明した。

*内容を追加しました。

[ワシントン/バグダッド 29日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



2019123120200107issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2019年12月31日/2020年1月7日号(12月24日発売)は「ISSUES 2020」特集。米大統領選トランプ再選の可能性、「見えない」日本外交の処方箋、中国・インド経済の急成長の終焉など、12の論点から無秩序化する世界を読み解く年末の大合併号です。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

クシュナー氏のPE、英金融会社オークノース株8%取

ビジネス

インド、減税計画にもかかわらず財政赤字目標達成に自

ビジネス

アングル:今週の世界の金融市場、米国の対ウクライナ

ワールド

イスラエル、ガザ住民移住巡り南スーダンと協議=関係
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 2
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に入る国はどこ?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 5
    AIはもう「限界」なのか?――巨額投資の8割が失敗する…
  • 6
    恐怖体験...飛行機内で隣の客から「ハラスメント」を…
  • 7
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 8
    40代は資格より自分のスキルを「リストラ」せよ――年…
  • 9
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 10
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 6
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 7
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 8
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 9
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 10
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中