最新記事

NATO

NATO同盟に亀裂? 仏マクロン「NATOは脳死」発言を独メルケルが批判 

2019年11月8日(金)10時00分

北大西洋条約機構(NATO)は「脳死状態だ」--。フランスのマクロン大統領は同日、英経済誌エコノミストのインタビューで、トランプ米政権の予測不能な行動や内部の協力態勢の欠如を理由に挙げて、NATOが事実上機能不全に陥っているとの考えを示した。写真はフランスのトゥールーズで10月16日撮影(2019年 ロイター/Regis Duvignau)

北大西洋条約機構(NATO)は「脳死状態だ」--。フランスのマクロン大統領は7日、英経済誌エコノミストのインタビューで、トランプ米政権の予測不能な行動や内部の協力態勢の欠如を理由に挙げて、NATOが事実上機能不全に陥っているとの考えを示した。ただドイツのメルケル首相がこの発言について過激過ぎる表現だと否定的な見方を示すなど、波紋が広がっている。

マクロン氏は「現在われわれが経験しているのはNATOの脳死だ」と主張。NATO第5条の集団防衛条項をなお信じているかと聞かれると「よく分からない」と述べ、欧州諸国と米国、トルコの間に戦略的な協調が存在していないと嘆いた。

さらにマクロン氏は、米国が「われわれに背を向けつつある」兆しが見えると不信感を表明し、トランプ大統領が先月突然、同盟国に何の相談もなくシリア北部からの米軍引き揚げを決めたことがその表れだと批判した。

これに対してメルケル氏はベルリンでの記者会見で、マクロン氏は大げさに反応していると強調。「マクロン氏はかなり過激な言葉で自分の見解を表現している。これは私が目にしているNATOの協力態勢を伝えてはいない」と語った。会見にはNATOのストルテンベルグ事務総長が同席した。

ストルテンベルグ氏はロイターに、NATOが1956年のスエズ危機や2003年のイラク戦争など、過去においても加盟国間の対立を克服してきたと説明した。

またベルリンの壁崩壊30周年の式典に参加するためドイツを訪問中のポンペオ米国務長官は、NATOの同盟態勢に関して、有史以来で最も重要な存在に1つだと高く評価した。

一方、ロシア政府はマクロン氏の「脳死」発言を称賛し、外務省報道官は「NATOの現状を正確に定義する素晴らしい言葉だ」と述べた。

[ベルリン/パリ 7日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191112issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

11月12日号(11月6日発売)は「危ないIoT」特集。おもちゃがハッキングされる!? 室温調整器が盗聴される!? 自動車が暴走する!? ネットにつなげて外から操作できる便利なスマート家電。そのセキュリティーはここまで脆弱だった。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

仏会計検査院、歳出削減促す 増税頼み限界

ビジネス

日立労組、26年春闘のベア要求1万8000円 一時

ビジネス

日銀、3月か4月会合で利上げの可能性「相応にある」

ワールド

アングル:米公民権運動導いたJ・ジャクソン師死去、
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポーランドが「核武装」に意欲、NATO諸国も米国の核の傘を信用できず
  • 2
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 3
    中道「大敗北」、最大の原因は「高市ブーム」ではなかった...繰り返される、米民主党と同じ過ち
  • 4
    ウクライナ戦争が180度変えた「軍事戦略」の在り方..…
  • 5
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 6
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 7
    生き返ったワグネルの「影」、NATO内部に浸透か
  • 8
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 9
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 10
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 1
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 4
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 5
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 6
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 7
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 8
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 9
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 10
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中