最新記事

日韓関係

韓国大統領府「GSOMIA終了決定を停止」 日韓で輸出管理の対話再開へ

2019年11月22日(金)20時00分

韓国大統領府は、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について、終了の通告を停止すると発表した。写真は2015年6月22日、東京の韓国大使館前で撮影(2019年 ロイター/Toru Hanai)

韓国大統領府は22日夕、失効が目前に迫っていた日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について、終了するとした8月の決定を停止すると発表した。一方、日本政府は輸出管理を巡る韓国との政策対話を再開する方針を明らかにした。

日韓双方が妥協の姿勢をみせたことで、両国の関係悪化に歯止めがかかる可能性が出てきた。

日韓外相が会談へ

韓国の金有根(キム・ユグン)国家安保室第1次長は会見で、「いつでも協定を破棄できるとの条件付きで、GSOMIAを終了するとした8月23日の(日本側への)通告を停止することを決めた」と語った。「日本側は理解を示した」という。

日本と韓国は、第2次世界大戦中の徴用工問題を巡って関係が悪化。日本が韓国向け半導体材料の輸出管理を強化したことを受け、韓国政府は今年8月、軍事上の機密情報を共有するための枠組みGSOMIAを終了することを決め、日本側に通告した。

GSOMIAを終了しないという韓国の決定について安倍晋三首相は、「韓国も戦略的に判断した」との見方を示し、「北朝鮮への対応で日韓の連携と協定は極めて重要だ」と記者団に語った。

北朝鮮が核・ミサイル開発を進める中、米国は日本と韓国に歩み寄るよう促してきた。

茂木敏充外相は、20カ国・地域(G20)外相会議のため来日する韓国の康京和外相との会談を調整していることを明らかにした。

輸出管理の政策対話再開

韓国側の発表とほほ同時刻、日本の経済産業省は輸出管理に関する日韓の政策対話を再開する方針を明らかにした。GSOMIAの問題とは無関係とした上で、韓国側が世界貿易機関(WTO)への提訴手続きを中断すると伝えてきたことから、現状改善に向けた努力と判断したとしている。

今後も韓国向けの輸出は個別に審査して許可する方針に変わりないという。

政策対話は課長レベルの協議を経て開催時期を調整する。

米国は歓迎

米政府は韓国の決定を歓迎。国務省の報道官は「今回の決定は志を共にする同盟国が二国間問題を克服できるという前向きなメッセージにつながった。韓国と日本が歴史問題の永続的解決に向け誠実な議論を続けるよう促す」と語った。防衛および安全保障問題は他の分野とは切り離して考えるべきとも強調した。

*内容を追加しました。



[ソウル 22日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191126issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

11月26日号(11月19日発売)は「プラスチック・クライシス」特集。プラスチックごみは海に流出し、魚や海鳥を傷つけ、最後に人類自身と経済を蝕む。「冤罪説」を唱えるプラ業界、先進諸国のごみを拒否する東南アジア......。今すぐ私たちがすべきこととは。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

FBI、ユダヤ人団体との「関係解消」 カーク氏団体

ワールド

中国「国慶節」初日、鉄道利用が過去最高 消費押し上

ビジネス

シティ、イーサーの年末予想を引き上げ、ビットコイン

ビジネス

午後3時のドルは147円前半で下げ一服、再びレンジ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    「元は恐竜だったのにね...」行動が「完全に人間化」してしまったインコの動画にSNSは「爆笑の嵐」
  • 4
    なぜ腕には脂肪がつきやすい? 専門家が教える、引…
  • 5
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 6
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 7
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 8
    イスラエルのおぞましい野望「ガザ再編」は「1本の論…
  • 9
    アメリカの対中大豆輸出「ゼロ」の衝撃 ──トランプ一…
  • 10
    【クイズ】身長272cm...人類史上、最も身長の高かっ…
  • 1
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 2
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 3
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけではない...領空侵犯した意外な国とその目的は?
  • 4
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 5
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 6
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 7
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 8
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 9
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 10
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 9
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中