最新記事

環境問題

環境保護団体「絶滅への反逆」、米資産運用会社ブラックロックを狙い撃ち

2019年10月15日(火)15時45分

気候変動対策を求め、世界各地の都市で2週間にわたり抗議活動を続けている環境保護団体「エクスティンクション・レベリオン(絶滅への反逆)」はロンドンで新たな活動を展開。写真はスローガンを叫んで道路を占拠する抗議者。10月14日、ロンドンで撮影(2019年 ロイター/Henry Nicholls)

気候変動対策を求め、世界各地の都市で2週間にわたり抗議活動を続けている環境保護団体「エクスティンクション・レベリオン(絶滅への反逆)」は14日、ロンドンで新たな活動を展開。世界最大の資産運用会社、米ブラックロックに狙いを定めた。化石燃料会社の新規鉱山や油田やパイプラインの開発や建設に必要な資金を大手金融機関は提供するなと要求している。

活動家たちはブラックロックの建物ドアに体を貼りつけたり、札束が載った皿を並べた「夕食会」を演じてみせた。

ブラックロックのほかイングランド銀行(英中央銀行)、バンク・オブ・チャイナ、英銀バークレイズなどの周辺で、旗を掲げたり、拡声器で通行人に呼び掛けたり、道路を封鎖したりした。

警察は同日のその後、市内での関連するすべての集会の停止を命じ、トラファルガー広場など一部では活動家たちがテントを撤収。しかしグループは、ロンドンや世界での活動は続行するとしている。

エクスティンクション・レベリオンは経済活動などの混乱を起こすことで、政府に炭素排出量の急減や環境破壊の阻止の圧力をかける運動。ロンドンでの逮捕者は既に1400人を超え、オランダやベルギー、米国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドなどの20都市でも合計でほぼ同数が逮捕されたとしている。

ブラックロックでの抗議活動に加わった英科学ジャーナリストエミリー・グロスマン氏は、化石燃料プロジェクトへの資金提供がパリ協定の目標達成を妨げているとし、「私たちの生命と私たちの子孫の生命に対して行っている犯罪」と批判した。

活動家たちがブラックロックなどのインデックス運用ファンド会社に圧力をかけるのは、巨額の資金を投資する企業に対し強い影響力を持つため。ロイターが今月分析した株主投票記録によると、ブラックロックやバンガード・グループ、ステート・ストリートなどの大手はそうした行使をほとんどしていない。

[ロンドン 14日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます




20191022issue_cover200.jpg
※10月22日号(10月16日発売)は、「AI vs. 癌」特集。ゲノム解析+人工知能が「人類の天敵」である癌を克服する日は近い。プレシジョン・メディシン(精密医療)の導入は今、どこまで進んでいるか。



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:9月株安の経験則に変調、短期筋に買い余力

ビジネス

ロシュ、米バイオ企業を最大35億ドルで買収へ 肝臓

ワールド

ドイツ銀行、第3四半期の債券・為替事業はコンセンサ

ワールド

ベトナム、重要インフラ投資に警察の承認義務化へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中