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アップル、香港「警察追跡アプリ」の配信を停止 

Apple's Decision to Pull HKmap is 'Political Decision to Suppress Freedom'

2019年10月11日(金)16時30分
ジェイソン・マードック

アップルは今回のアプリ削除に先立ち、8日には香港版のiPhoneから台湾の国旗の絵文字を削除していた。また中国ではApp StoreからオンラインニュースサイトのQuartzが削除されている。中国で「違法」と見なされている香港の抗議デモについて報じているからだ。

HKmapがApp Storeから削除されたことを受けて、インターネット上では激しい議論が起きている。アプリの削除が中国政府の圧力に屈したせいだという批判に異議を唱える声もある。アップルはこれまで、自国アメリカの政府にさえ反抗してきた。2015年にカリフォルニア州サンバーナディーノで乱射事件が起きた際、犯人が使用していたiPhone 5Cの暗号解除を求めた政府の要求を、アップルが拒絶した一件は有名だ。

だがある人物は、ITニュースサイト「Hacker News」のフォーラムに「このアプリについてのアップルの決定は完全な偽善だし、プライバシーや自由を否定するものだ」と書き込んだ。「ティム・クックCEOをはじめとする上層部がもっときちんと検証して、アプリを残すという断固たる姿勢を取らなかったのが信じられない!恥を知れ、アップル!」

検閲大国への今後の対応は

インターネットやソーシャルメディア、チャットアプリが厳しく検閲される中国で、アメリカのテック企業が事業を運営することは簡単ではない。グーグルは2010年、ハッキングや検閲を理由に中国からの撤退を発表した。2018年には、同社幹部が「ドラゴンフライ」の名称で中国向けの検索エンジンを開発し、中国市場への再参入を計画していることが明らかになったが、これにも激しい批判の声が上がった。

今のところ、HKmap(少なくともiOSアプリ版)の今後がどうなるかは不透明なままだ。開発者たち(身元は明かしていない)はツイッターやメッセージアプリのテレグラムを使って、同アプリをめぐる最新の情報を共有している。開発チームのあるメンバーは9日、次のようなメッセージを投稿した。「もしもHKmapが、誤って指摘されているように警察の待ち伏せなどの違法な目的のためのアプリなら、わざわざ一般市民が入手できるようにするものか」

(翻訳:森美歩)

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※10月15日号(10月8日発売)は、「嫌韓の心理学」特集。日本で「嫌韓(けんかん)」がよりありふれた光景になりつつあるが、なぜ、いつから、どんな人が韓国を嫌いになったのか? 「韓国ヘイト」を叫ぶ人たちの心の中を、社会心理学とメディア空間の両面から解き明かそうと試みました。執筆:荻上チキ・高 史明/石戸 諭/古谷経衡

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