最新記事

ロシア

自在に表情を変え脱走もするロボット、ロシアで量産?

Russian Firm Creates Human-like Robots That Can Be Made to Look Like Anyone

2019年10月7日(月)16時55分
ハンナ・オズボーン

注文があればマイケル・ジョーダンそっくりにすることもできるというアンドロイド PROMOBOT

<たびたびメディアを騒がせるロシアのプロモボット社が、誰にでも似せられるアンドロイドの量産を始めた>

ロシアのプロモボット社が、オーダーメイドで誰にでも似せられるヒューマノイド型ロボット「アンドロイド・ロボC」の大量生産を始めた。目や眉毛や口などを自在に動かして、人間の表情をまねることもできる。質問にも答えられるし、パートナーも務められるという。

少なくとも、プロモボット社はそう主張している。同社によれば、このロボットは特別に進化した人工皮膚をもっているので、600以上の表情が作れるのだという。

<参考記事>【動画】ロシアの「最先端ロボット」には......実は人が入っていた

「どんな顔のロボットでもご注文下さい。ビジネス用にもプライベート用にもお使いになれます」と、プロモボットの取締役会会長アレクセイ・ルチャコフはプレスリリースにこう書いている。「マイケル・ジョーダンがバスケットボールのユニフォームを販売してくれたらどんなに素晴らしいだろう、そう思いませんか? 博物館で、ウィリアム・シェークスピアが自作を朗読してくれたら素晴らしくないですか?」

どこまでが本当か

「我が社では、特定の人物が好んで使う言葉を使って言語モデルを作ることができるので、このロボットは、自分がコピーした人物がよく使う表情を作り、知識をひもといて、質問に答えたり会話をすることができる」

すでに個人から数台の注文がきているほか、顧客サービスに使おうという企業からの問い合わせは引きも切らないと、同社は言う。

同社の共同創業者オレグ・キボクルトフは国営タス通信に、これからはこのロボットを月20台生産する計画だと語った。

<参考記事>W杯での集客見越し、ロシア初ロボット売春宿がオープン

プロモボットが新聞の見出しを飾るのはこれが初めてではない。

2016年には、同社のロボットの1つが研究室から脱走しようとした、と発表した。

最初の時は、閉め忘れたドアから抜け出し、研究室から45メートルほどのところで捕まった。

一週間後には、プログラムをやり直したにもかかわらず、再び脱走を試みた。多くのメディアは、宣伝目的のでっち上げだと思っている。

また今年1月には、同社のロボットがラスベガスのCES(毎年恒例の家電分野のトレードショー)会場の外でテスラの自動運転車モデルSにはねられ「殺された」と主張した。広く報道されたこの話もでっち上げとみられている。

一方4月には、国営ニュースチャンネルのロシヤ24が、「アンドロイド・ロボC」の初期モデルを使ってニュース速報を流し始めた。だがBBCによれば、評判はよくない。視聴者によれば、政治的プロパガンダばかり流れてくるのだという。

20191015issue_cover200.jpg
※10月15日号(10月8日発売)は、「嫌韓の心理学」特集。日本で「嫌韓(けんかん)」がよりありふれた光景になりつつあるが、なぜ、いつから、どんな人が韓国を嫌いになったのか? 「韓国ヘイト」を叫ぶ人たちの心の中を、社会心理学とメディア空間の両面から解き明かそうと試みました。執筆:荻上チキ・高 史明/石戸 諭/古谷経衡


ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EXCLUSIVE-中国、100基超のICBM配備

ワールド

トランプ氏、グリーンランド特使にルイジアナ州知事を

ビジネス

外貨準備のドル比率、第3四半期は56.92%に小幅

ビジネス

EXCLUSIVE-エヌビディア、H200の対中輸
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 5
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 6
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    70%の大学生が「孤独」、問題は高齢者より深刻...物…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中