最新記事

ジェンダー

パイロットも女性だけのフライトで、女子中高生をNASA見学へ その目的は?

2019年10月17日(木)17時10分
松丸さとみ

男性が圧倒的に多い航空業界だが...... DELTA

<デルタ航空が「女性オンリー」のフライトで120人の女子中高生をNASAへ案内するツアーを行った......>

乗客乗員、管制官もみんな女性

米航空大手デルタ航空はこのほど、「女性オンリー」のフライトで120人の女子中高生を米航空宇宙局(NASA)へ案内するツアーを行った。航空業界におけるジェンダー・ギャップを埋めることを目指す「航空業界の国際ガールズ・デー」(10月5日)のイベントの1つだ。

デルタ航空によると、この女性オンリーのフライトは、「Women Inspiring our Next Generation」(次世代に刺激を与える女性たち)の頭文字を取って「WINGフライト」と呼ばれている。2015年に始まり、今年で5回目。パイロットや乗務員のみならず、搭乗手続きを行う地上職員や管制塔で航空機に指示を与える管制官もすべて女性だ。

航空業界は男性が圧倒的に多いため多様性を高めること、そして「STEM」と呼ばれる科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Math)の分野でのキャリアに、女性が若いうちに触れられる機会を作ることが、WINGフライトの目的だとデルタは説明している。

今回のWINGフライトは、米西部のユタ州ソルトレイクシティから12〜18歳の女子中高生120人を乗せ、NASAのある南部テキサス州ヒューストンへ向かった。NASAでは、ミッション・コントロール・センター、ジョンソン宇宙センター、スペースセンター・ヒューストンなどを見学した。

女性宇宙飛行士とも対面

ABCニュースによると、米連邦航空局の2017年のデータでは、米国のパイロット数61万人弱のうち、女性は約7%に過ぎない。航空士に至ってはゼロだ。デルタは、同社の全パイロットの中に女性が占める割合は5.4%としている。ただ過去4年間の新規採用については、7.4%に上昇したという。

米NBCの朝の情報番組トゥデイによると、今回ツアーに参加した女子中高生の中には、これまで一度も飛行機に乗ったことがない子もいれば、航空関係の学校に通い、すでに飛行機の操縦ライセンスを持ち、将来パイロットを目指すという子もいた。

NASA見学では、生徒たちは、宇宙飛行士のジャネット・エプス氏を含め、航空業界ですでに活躍している女性たちに直接会い、話を聞くことができた。

デルタによると、12年生(日本の高校3年生に相当)のケイトリンさんは、「航空業界の仕事は現実的じゃないと思っていたけど、今日は『私にもできる!』って思えた」と話した。また別の12年生、シャネイさんは、「成功した女性が達成したものを見ることができて楽しかった。彼女たちが培った成功から学び、そこを足場に私たちがさらに築いていけると思う」と夢を語った。

今、あなたにオススメ

ニュース速報

ワールド

米債務上限引き上げ基本合意、31日に議会で採決へ

ワールド

アングル:米大学入試の「人種考慮」変わるか、最高裁

ワールド

日米、半導体開発で行程表 西村・レモンド両氏が共同

ワールド

アングル:ウクライナ復興事業、先行するチェコとポー

今、あなたにオススメ

MAGAZINE

特集:愛犬の心理学

2023年5月30日号(5/23発売)

アメリカ最新研究が明らかにするイヌの潜在的知力と飼い主へのホンネ

メールマガジンのご登録はこちらから。

人気ランキング

  • 1

    【画像・閲覧注意】ワニ40匹に襲われた男、噛みちぎられて死亡...血まみれの現場

  • 2

    「ぼったくり」「家族を連れていけない」わずか1年半で閉館のスター・ウォーズホテル、一体どれだけ高かったのか?

  • 3

    歩きやすさ重視? カンヌ映画祭出席の米人気女優、豪華ドレスからチラ見えした「場違い」な足元が話題に

  • 4

    ロシアはウクライナを武装解除するつもりで先進兵器…

  • 5

    韓国アシアナ機、飛行中に突然乗客がドアをこじ開けた…

  • 6

    「英語で毛布と言えないなら渡せない」 乗客差別と批…

  • 7

    F-16は、スペックで優るロシアのスホーイSu-35戦闘機…

  • 8

    築130年の住宅に引っ越したTikToker夫婦、3つの「隠…

  • 9

    ウクライナからの越境攻撃に米製高機動多用途装輪車…

  • 10

    大事な部分を「羽根」で隠しただけ...米若手女優、ほ…

  • 1

    「ぼったくり」「家族を連れていけない」わずか1年半で閉館のスター・ウォーズホテル、一体どれだけ高かったのか?

  • 2

    F-16がロシアをビビらせる2つの理由──元英空軍司令官

  • 3

    【画像・閲覧注意】ワニ40匹に襲われた男、噛みちぎられて死亡...血まみれの現場

  • 4

    築130年の住宅に引っ越したTikToker夫婦、3つの「隠…

  • 5

    歩きやすさ重視? カンヌ映画祭出席の米人気女優、…

  • 6

    ロシアはウクライナを武装解除するつもりで先進兵器…

  • 7

    韓国アシアナ機、飛行中に突然乗客がドアをこじ開けた…

  • 8

    おそろいコーデ、キャサリン妃の「頼れる姉」ソフィ…

  • 9

    ジャニー喜多川の性加害問題は日本人全員が「共犯者…

  • 10

    「英語で毛布と言えないなら渡せない」 乗客差別と批…

  • 1

    世界がくぎづけとなった、アン王女の麗人ぶり

  • 2

    「高い」「時代遅れ」 あれだけ騒がれた「メタバース」、早くもこんなに残念な状態に

  • 3

    カミラ妃の王冠から特大ダイヤが外されたことに、「触れてほしくない」理由とは?

  • 4

    「ぼったくり」「家族を連れていけない」わずか1年半…

  • 5

    F-16がロシアをビビらせる2つの理由──元英空軍司令官

  • 6

    【画像・閲覧注意】ワニ40匹に襲われた男、噛みちぎ…

  • 7

    築130年の住宅に引っ越したTikToker夫婦、3つの「隠…

  • 8

    日本発の「外来種」に世界が頭を抱えている

  • 9

    チャールズ国王戴冠式「招待客リスト」に掲載された…

  • 10

    「飼い主が許せない」「撮影せずに助けるべき...」巨…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中