最新記事

中東

サウジ沖でタンカーが爆発 イラン国営石油「ミサイル2発の攻撃受けた」

2019年10月11日(金)20時38分

サウジアラビア西部の紅海に臨む港湾都市ジッダ沖で、イラン国営石油(NIOC)が所有する石油タンカーが爆発、炎上した。写真は国際原子力機関(IAEA)本部前に掲揚されたイラン国旗。9月9日撮影(2019年 ロイター/Leonhard Foeger)

イラン国営メディアは、サウジアラビア西部の港湾都市ジッダ沖の紅海で、イラン国営石油(NIOC)が所有する石油タンカーがミサイル2発による攻撃を受けたと報じた。イラン外務省も攻撃を確認した。紅海と湾岸地域では石油タンカーへの攻撃など事件が続いており、サウジとイランの対立がさらに悪化する可能性がある。

現場はジッダの沖合およそ60マイル(96キロ)の地点。イランからの報道によると、タンカーは炎上し、激しく損傷した船体から油が海上に流出したが、現在は流出は食い止められているという。

イラン外務省は、タンカーが2回攻撃を受けたことを確認した。

NIOCは声明で、2発のミサイルの攻撃を受けたとしたが、サウジから飛来したとの報道は否定した。

サウジはコメントしていない。

今回のタンカー爆発は、イランからの報道以外では未確認。犯行声明などもでていない。この地域を担当する米海軍第5艦隊は、報道は認識しているがそれ以上の情報はないとしている。

イランにとって最大の原油輸出先である中国外務省の報道官は、中国は関係各国が地域の平和と安定維持に向けて協力することを期待すると述べた。

ロシアは、タンカー爆発が誰の仕業か特定するのは時期尚早とした。

イラン学生通信(ISNA)は、爆発は「テロ攻撃」とする専門家の見解を紹介。イラン国営テレビは、船のタンク2つが損傷を受けたと報じている。

タンカー爆発の報道を受け、原油先物は2%上昇。北海ブレント先物と米WTI先物はともに1ドル超上昇している。

イラン革命防衛隊に近いNour通信によると、タンカーの乗員は無事だという。

複数の業界関係者によると、今回の爆発により、すでに急騰していたタンカー運賃は一段と上昇する公算。

タンカー運賃は、米国が中国の海運大手の子会社を制裁対象に指定したことや、サウジの石油施設への攻撃をきっかけに、過去数週間で数年来の高水準に跳ね上がっている。

*内容を追加しました。

[ドバイ 11日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます




20191015issue_cover200.jpg
※10月15日号(10月8日発売)は、「嫌韓の心理学」特集。日本で「嫌韓(けんかん)」がよりありふれた光景になりつつあるが、なぜ、いつから、どんな人が韓国を嫌いになったのか? 「韓国ヘイト」を叫ぶ人たちの心の中を、社会心理学とメディア空間の両面から解き明かそうと試みました。執筆:荻上チキ・高 史明/石戸 諭/古谷経衡

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

午後3時のドルは156円前半でほぼ横ばい、日銀早期

ビジネス

中国万科の社債急落、政府支援巡り懸念再燃 上場債売

ワールド

台湾が国防費400億ドル増額へ、33年までに 防衛

ビジネス

インフレ基調指標、10月の刈り込み平均値は前年比2
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    放置されていた、恐竜の「ゲロ」の化石...そこに眠っ…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 10
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中