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選挙イスラエル総選挙、ネタニヤフ首相の与党過半数割れへ 連立交渉は難航か

大接戦となったイスラエルのやり直し総選挙(国会定数120)は約90%の開票が終了し、ネタニヤフ首相(右)は過半数を確保できない見通しになった。エルサレムの投票所で代表撮影(2019年 ロイター)
大接戦となったイスラエルのやり直し総選挙(国会定数120)は18日、約90%の開票が終了し、ネタニヤフ首相は過半数を確保できない見通しになった。
現時点でネタニヤフ首相率いる右派の与党リクードは55議席を確保し、過半数を割り込んでいる。ただ、いずれの勢力も過半数を占める連立政権に必要な61議席は確保できない見込みだ。
連立政権樹立に向けた交渉が今後の焦点となるが、交渉は難航し、数週間かかる可能性がある。
17日に投開票された総選挙では、リクードとガンツ元軍参謀総長が率いる中道野党連合「青と白」の接戦となった。
ガンツ氏は18日、出口調査に基づけばネタニヤフ氏は敗北したもようで、青と白は「使命を果たした」ようだと表明。国家を統一する政府の樹立に向けて取り組むと述べた。ただ、公然と勝利宣言することはせず、正式な開票結果を待つ考えを示した。
一方、ネタニヤフ氏はリクードの会合で演説した際、勝利宣言は行わず、敗北も認めなかった。最終的な開票結果を待つと述べ、「強いシオニスト政府」の樹立に向けて取り組むと語った。
地元テレビの著名アナウンサーは「ネタニヤフ氏は敗北したが、ガンツ氏も勝利していない」と指摘した。
こうした中、極右「わが家イスラエル」を率いるリーベルマン元国防相が連立交渉の行方を左右する可能性がある。
リーベルマン氏は「選択肢はただ1つ。わが家イスラエルとリクード、青と白で構成する、国を挙げたリベラルで包括的な政権だ」と述べた。
リーベルマン氏はリクードの従来の連立相手であるユダヤ教超正統派の政党との連立は拒否する考えをこれまで示しており、宗教政党が日常生活に及ぼす影響を弱めることなどを掲げて選挙戦を戦った。
ガンツ氏はネタニヤフ氏が汚職疑惑で起訴された場合、同氏と協力して連立政権を樹立する可能性を否定している。
今回の選挙でネタニヤフ氏は、4月の前回選挙後の連立協議が失敗に終わったことが響いたほか、汚職疑惑も痛手となった。
ネタニヤフ氏が選挙後の演説で、「この国の多くの人」の意見を反映する「強いシオニスト政府」の樹立に向けて取り組むと語ったことは、リクードを軸とする政権に現時点で加わっていないユダヤ系政党との協力に扉を開くものとみられる。ガンツ氏がアラブ系政党の暗黙の協力を得て連立政権樹立を試みる可能性をけん制する狙いもありそうだ。
*内容を追加しました。


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