「世界一セクシーな男」が次にやりたいのは恋愛コメディー
"I'd love to do a romantic comedy."
――最近は俳優だけでなく、脚本家や監督にも黒人が増えた。
時代を象徴していると思う。私はこの業界に30年近くいるが、その間にいろいろなことが変わってきた。今は演じる側だけでなく、製作陣にも黒人が増えている。女性も重要な役割を果たすようになった。昔は圧倒的に男性ばかりの業界だったが、それが変わってきたことは素晴らしいと思う。変わるべくして変わってきたことだ。
――あなたがDJだと知って多くの人が驚いた。今年のコーチェラ・フェス(アメリカの野外ロックフェスティバル)にも出演したとか。
実は、私のDJ歴は俳優歴と同じくらい長い。ただ、あまり言わなかっただけだ。最近は自分の音楽活動やDJ活動に自信がついてきて、誇りに思っている。昔は第2のキャリアとしてかなり真剣に取り組んでいたから、素人ではないと思う。
世界最高のラッパーも、そうなる前は自分の寝室で音楽を作っていた。世に出てくるまでみんな知らないだけでね。でも、音楽業界でコーチェラに出演するのはすごいことだから、今年出演できたことをとてもうれしく思っている。
――あなたの娘のイサン・エルバは、今年のゴールデングローブ賞授賞式のアンバサダー役(トロフィーなどを運ぶ役)を、心の病について意識向上を働き掛ける機会にしたとか。
娘をとても誇りに思っている。ゴールデングローブ賞の仕事が決まったとき、「奇麗なドレスを着て目立つチャンス」ではなく「何かを伝える機会にしたい」と言ったんだ。主催者もそれを快諾してくれた。
娘は心の病について世の中の関心を集めたいと思っていた。彼女は昔、学校でひどいいじめに遭ったことがあったが、それは相手の少年が心の病を抱えていたせいだと分かった。彼は薬物治療を受けていたが、その薬を飲んでいなかった。
彼は娘に罵詈雑言を浴びせ掛け、娘は本当につらい思いをした。でも、彼は自分をコントロールできない状態だった。娘はそれを知って、彼の悩みを聞いてあげる人が必要だと思った。そういう場所がないから、友達に暴言を吐くのだ、と。
それを聞いてとても感動した。娘がつらい経験を、ポジティブな運動に変えたことを本当に誇りに思う。しかもゴールデングローブという世界の注目を集める舞台を、そうした問題に対する意識向上に使おうというのだから、親としてこんなに誇らしいことはない。
<本誌2019年07月16日号掲載>
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