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生鮮食品・医薬品が不足、輸出入が滞る......機密文書が暴露したEU強硬離脱の危険度

How Bad Is a No Deal Brexit?

2019年8月30日(金)14時00分
ジョシュア・キーティング

合意なき離脱の回避を語ってはいるジョンソンだが、失敗すれば食料品不足に直面する恐れが ADRIAN DENNIS-POOL-REUTERS

<合意なき離脱に突き進むジョンソン首相、その先に待ち受ける「最悪のシナリオ」が明らかに>

ボリス・ジョンソン英首相の言葉を真に受けるなら、イギリスは天文学的な確率で見事に最悪の事態を引き当てそうだ。彼は就任前、イギリスが条件面でEUと折り合いがつかずに「合意なき離脱」が起きる確率は「100万分の1」程度だと豪語していた。しかし、就任後のジョンソンは明らかに合意なきEU離脱に向け突き進んでいる。

8月初め、英サンデー・タイムズ紙は交渉期限の10月31日に合意なき離脱が起きた場合の混乱を予測した政府機密文書の内容を暴露した。「キアオジ作戦」なる内閣府の文書によれば、イギリスでは生鮮食品や医薬品が不足し、最大3カ月にわたって輸出入が滞るという。

また、文書は英領北アイルランドとEU加盟国であるアイルランド共和国の間に厳格な国境管理(ハードボーダー)が導入され、離脱後に広範な抗議運動が展開されるとも予測している。政府関係者によると、これは「最悪の事態」ではなく「合理的に予測した、起こり得るシナリオ」だという。

合意なき離脱の準備を担当するマイケル・ゴーブ国務相は、こうした事態を避ける準備は進んでいるとして「キアオジ作戦はあくまで最悪のシナリオ」だと反論した。また、さらにひどい事態を想定した「ブラックスワン」シナリオがあるという同紙の報道も否定している。

結束できないEU残留派

合意なき離脱の準備を進める一方で、イギリス政府は離脱協定案の再交渉をEU側に求める従来の姿勢を崩していない。ジョンソンは8月19日、ドナルド・トゥスクEU大統領宛ての書簡で、再交渉を求める自身の考えを強調。アイルランド国境管理をめぐる「バックストップ条項」を「非民主的」として協定案から削除することを求めた。

この条項の下では、ハードボーダーを回避して混乱を防ぐためにイギリスはEUの関税同盟にとどまり、北アイルランドはEUの税関規制に従う。ジョンソン政権は、ハードボーダーは「代替手段」によって回避できるという立場だ。トゥスクは返答で、バックストップ条項に再交渉の余地はないとの従来の立場を繰り返した。

ジョンソンは、本気で合意なき離脱をすると脅かせばEUは再交渉に応じると信じているようだ。しかしその後、ジョンソンがアンゲラ・メルケル独首相やエマニュエル・マクロン仏大統領と会談しても、事態は進展しなかった。マクロンは10月末の期限までに再交渉するには時間が足りず、もはや合意なき離脱は「中心的シナリオ」になっていると指摘している。

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