最新記事

朝鮮半島

北朝鮮、元山付近から飛翔体2発発射 夏の米韓合同軍事演習へのけん制か

2019年7月25日(木)11時02分

韓国軍合同参謀本部は、北朝鮮が早朝、東部元山付近から未確認の飛翔体を少なくとも2発発射したと発表した。写真は昨年4月、韓国側から撮影(2019年 ロイター/Kim Hong-Ji)

韓国軍合同参謀本部は、北朝鮮が25日早朝、東部元山付近から短距離弾道ミサイルを2発発射したと発表した。

韓国国防省の当局者がロイターに語ったところによると、ミサイル1発は海上を約430キロ飛行し、もう1発は690キロ飛行した。いずれも高度は50キロに達した。690キロ飛行したミサイルは新たな形態とみられており、詳細な分析が行われているという。

トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、6月末に南北の非武装地帯で行った3回目の首脳会談で非核化を巡る協議再開で合意したが、弾道ミサイル発射は協議再開の見通しに影を落としそうだ。

ホワイトハウスと米国防総省、米国務省はコメントの求めに応じていない。

米政権の高官は「北朝鮮から発射された短距離の飛翔体に関する報道は承知している。それ以上のコメントはない」と述べた。

韓国大統領府は声明を発表し、同国はミサイルが発射される前に関連する兆候をとらえていたとし、米国と詳細な分析を行っていると説明した。

共同通信によると、日本政府は短距離弾道ミサイルであることを確認。安倍晋三首相は日本の安全保障に直ちに影響を与えることはないとの認識を示した。

日本の防衛省は、日本の領域や排他的経済水域(EEZ)への弾道ミサイルの飛来は確認されていないとしている。

韓国訪問を終えたばかりのボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は25日朝にツイッターで、韓国政府当局者らと地域の安全保障や同盟関係の強化について「生産的な会合」を開いたと述べたが、北朝鮮のミサイル発射については触れなかった。

米朝は非核化を巡る実務協議を近く開始することで合意していたが、北朝鮮はその後、米韓が今夏に予定する合同軍事演習を強く非難。

北朝鮮外務省報道官は今月、米韓合同軍事演習が夏に実施されれば、米朝実務者協議に影響すると警告。「米国が約束を守らないのであれば、我々が(1回目の米朝首脳会談での)合意にとどまる理由は薄れる」とも述べた。

米シンクタンク「センター・フォー・ザ・ナショナル・インタレスト」のハリー・カジアニス氏は「北朝鮮は明らかに、米韓が合同軍事演習を実施することに憤慨している」と指摘。

「(ミサイル発射)に衝撃を受ける必要はなく、むしろ想定すべきだった」と述べた。

北朝鮮による直近の兵器実験は5月で、短距離ミサイルと小型のロケットだった。

北朝鮮国営の朝鮮中央通信社(KCNA)は23日、金委員長が、ミサイルプログラムを主導する当局者らを伴って、新たに建造された大型潜水艦を視察したと伝えた。潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の開発継続を示唆している可能性がある。

韓国外務省の朝鮮半島平和交渉本部長を務めたキム・ホンギュン氏は「ミサイルの発射、軍事演習の非難、新たな潜水艦を通じ、北朝鮮は明確なメッセージを送っている。米国がより柔軟な姿勢を示さなければ、作業レベルの協議はないかもしれないというものだ」と語った。

*内容を追加しました。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン


Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20190730issue_cover200.jpg
※7月30日号(7月23日発売)は、「ファクトチェック文在寅」特集。日本が大嫌い? 学生運動上がりの頭でっかち? 日本に強硬な韓国世論が頼り? 日本と対峙して韓国経済を窮地に追い込むリベラル派大統領の知られざる経歴と思考回路に迫ります。

ニューズウィーク日本版 イラン革命防衛隊
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月24号(3月17日発売)は「イラン革命防衛隊」特集。イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

スイス中銀、ゼロ金利維持 過度なフラン高に対抗

ワールド

ウクライナ和平交渉が一時中断、イラン紛争勃発で=ロ

ビジネス

パリ控訴裁、SHEINのサイト停止求める仏政府の請

ビジネス

サウジの紅海側ヤンブー港、原油積載再開 製油所攻撃
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 3
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 4
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 5
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 6
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 7
    モジタバの最高指導者就任は国民への「最大の侮辱」.…
  • 8
    原油高騰よりも米国経済・米株市場の行方を左右する…
  • 9
    ガソリン価格はどこまで上がるのか? 専門家が語る…
  • 10
    観客が撮影...ティモシー・シャラメが「アカデミー賞…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中