最新記事

イギリス

途中下車のメイからブレグジット引き継ぐのは誰? 英保守党首選で予想される顔ぶれ

2019年5月17日(金)10時53分

メイ英首相(写真)は、英国の欧州連合(EU)離脱交渉について次の局面を迎える前に退任すると表明している。ロンドンで撮影(2019年 ロイター/Peter Nicholls)

メイ英首相は、英国の欧州連合(EU)離脱交渉について次の局面を迎える前に退任すると表明している。具体的な退任時期にはまだ言及していないものの、与党・保守党の有力メンバーは後釜に座ろうと活発な駆け引きを始めつつある。

次期保守党党首(すなわち次期首相)選挙に出馬する意向を示したり、有力候補とみなされている人物は以下の通り。

◎エスター・マクベイ氏(51歳)

テレビ司会者出身のブレグジット(英のEU離脱)推進派で、昨年11月にメイ氏とEUの離脱合意案に抗議して雇用・年金相を辞任した。同氏はラジオのインタビューで「私は常に仲間から十分な支持があれば(党首選に)出るとかなりはっきり言ってきた。今そうした支持を得ており、打って出るつもりだ」と語った。

◎アンドレア・レッドサム氏(56歳)

ブレグジット推進派。2016年の党首選ではメイ氏とともに決選投票に残ったが、問題発言が響いて結局出馬を取りやめた。ただ今回は次期党首への「立候補を真剣に検討中」だとITVで表明した。

◎ローリー・スチュワート氏(46歳)

元外交官。いくつかの閣外相を経て今月、国際開発相に抜てきされた。16年の国民投票時にはEU残留に賛成したが、「合意なき離脱」にも反対で、今はメイ氏の離脱案を支持している。BBCに対して「私はこの国を団結させたい。私はブレグジットを受け入れたとはいえ、EU残留に投票した人たちにも手を差し伸べたい」と述べた。

そのほかに出馬が予想されるのは次の人々だ。

◎ボリス・ジョンソン氏(54歳)

前外相でメイ氏批判派の急先鋒。昨年7月に外相を辞めたのは、メイ氏の離脱交渉の進め方に不満があったためだ。

16年の国民投票においてジョンソン氏は、多くの欧州懐疑派から旗頭的な存在とみなされ、一時は党大会の演説を聞こうとする党員が座席確保のために行列をつくるほどの人気を集めた。

同氏は保守党が低い税率や強力な治安維持態勢などの伝統的価値に戻るべきだと主張している。まだ出馬は表明していないが、ブックメーカーの予想ではメイ氏の後継者として有力視されている。

◎マイケル・ゴーブ氏(51歳)

16年の国民投票の選挙期間中は最も知名度が高かった人物の1人だったが、キャメロン前首相の後継を決める党首選でメイ氏に敗北し、メイ内閣に加わった。精力的で、新たな政策を進める上で閣内で最も実行力があると目されている。予想に反してメイ首相の味方になり、これまでのところ首相の離脱方針を支持している。16年の離脱キャンペーンではボリス・ジョンソン氏と手を組んだが、党首選では土壇場でジョンソン氏への支持を引っ込め、自身が出馬した。

今回はまだ出馬するかどうか明かしていない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G20首脳会議が開幕、米国抜きで首脳宣言採択 トラ

ワールド

アングル:富の世襲続くイタリア、低い相続税が「特権

ワールド

アングル:石炭依存の東南アジア、長期電力購入契約が

ワールド

中国、高市首相の台湾発言撤回要求 国連総長に書簡
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 5
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 6
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 7
    Spotifyからも削除...「今年の一曲」と大絶賛の楽曲…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中