対中貿易戦争か国内経済か......トランプに決断の時が迫る
だが20年の大統領選挙に向けた準備が進むなか、トランプにとっても国内政治は非常に重要だ。彼は選挙運動で、繁栄の拡大と16年の選挙公約の実現を訴えようとしている。トランプにとって経済の重要な指標は、失業率の低さと株価の上昇だ。
市場は常に変動し、企業の収益の拡大に依存している。多くのエコノミストは、トランプによる減税の効果が弱まるにつれてGDPの伸びが鈍ると予想しており、そうなれば持続的な株式市場の回復は困難になる可能性がある。
貿易問題でタカ派のライトハイザーは、中国が犯したいくつもの貿易のルール違反について弁護士らしく説得力のある告発をしたかもしれない。だがトランプが気にしている唯一の陪審員は有権者だ。だから早かれ遅かれ、トランプは中国と取引をし、勝利を宣言することになるだろう。
<本誌2019年04月02日号掲載>
※4月2日号(3月26日発売)は「英国の悪夢」特集。EU離脱延期でも希望は見えず......。ハードブレグジット(合意なき離脱)がもたらす経済的損失は予測をはるかに超える。果たしてその規模は? そしてイギリス大迷走の本当の戦犯とは?
2024年4月23日号(4月16日発売)は「老人極貧社会 韓国」特集。老人貧困率は先進国最悪。過酷バイトに食料配給……繫栄から取り残され困窮する高齢者は日本の未来の姿
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら