最新記事

中国

全人代「GDP成長率」を読み解く

2019年3月8日(金)13時54分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

3月5日、全人代で政府活動報告をする李克強首相 Jason Lee-REUTERS

3月5日の全人代では中国の今年の経済成長率の目標を6%~6.5%と設定した。これにより中国経済が米中貿易摩擦の影響を受けて減速していると判断できるのか否か、詳細な実態と今後の動向を読み解く。

李克強首相、政府活動報告で目標値「6.0%~6.5%」

3月5日の全人代(全国人民代表大会)における政府活動報告で、李克強首相は今年の経済成長率の目標を「GDP成長率で6.0%~6.5%とする」とすると発表した。

世界が最も注目している値だが、昨年の目標値が「6.5%前後」だったのに対して、やや引き下げたことになる。

政府活動報告は、過去1年間の中国政府の活動を総括し、それを基に今年1年間の目標を発表する性格を持っているため、昨年の経済成長率に関しても「GDPで6.6%増であった」ことが明らかにされた。これは昨年の目標値であった「6.5%前後」の範疇にあり、実際上、目標値を達成したと、中国政府は胸を張っている。

しかし李克強自身がスピーチの中で述べたように、「アメリカとの貿易摩擦が一部の企業の生産や経営、市場の期待に影響を与えた」ことは事実だろうし、また「中国の発展が直面する環境は、複雑さと厳しさが増しており、リスクと試練が増大している」こともまた、否めない現実だろう。

これに対して世界各国はさまざまな見方を発信し、中には昨年のGDP成長率が6.6%であったことを、「28年ぶりの低水準」だとして、「リーマンショック級の大打撃を中国は受けている」と評するメディアもある。

本当にそのような事態にあるのだろうか?

日本の経済界にも強い影響をもたらす話なので、もう少し深く考察してみよう。

中国のGDP規模とGDP成長率

そのために筆者は、中国のGDP規模(絶対値)の推移と、GDP成長率を比較してみることを試みてみた。

というのは、GDP成長率というのは前年度のGDP規模と、その年のGDP規模の差額を、GDP規模で割った(割り算をした)値だからだ。分母に来るGDP規模が大きくなれば、同じ差額でも成長率は小さくなるし、規模そのものが小さい時には、小さな差額でも、成長率は非常に大きくなる。

したがって、中国のGDP規模の推移を見て比較しないと、中国経済の現状と未来予測をすることはできない。

以下に示すのは、米中日3ヵ国の1991年からのGDP規模と成長率を1つの図表にプロットしたものである。データはIMF World Economic Outlookに準拠し、米中日のみを抽出した(両者を同一画面上にプロットしたのは、筆者の試み)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

サッカーW杯で航空券・ホテル予約が急増、米市民射殺

ビジネス

暗号資産による資金洗浄、25年は820億ドル=調査

ビジネス

SBG、オープンAIへの最大300億ドル追加投資を

ビジネス

米銀、預金をステーブルコインに奪われる可能性=スタ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化はなぜ不可逆なのか
  • 4
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 5
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 6
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 7
    「恐ろしい...」キリバスの孤島で「体が制御不能」に…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    生活保護と医療保険、外国人「乱用」の真実
  • 10
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 5
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 6
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパ…
  • 9
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 10
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中