最新記事

韓国ファクトチェック

自殺者数、米軍兵力、初任給... 韓国のリアルを10の数字から知る

2019年3月7日(木)15時50分
ニューズウィーク日本版編集部

<隣の国なのに、意外と知らないことだらけ⁉ 身近な数字から探る等身大の韓国>

※3月12日号(3月5日発売)は「韓国ファクトチェック」特集。文政権は反日で支持率を上げている/韓国は日本経済に依存している/韓国軍は弱い/リベラル政権が終われば反日も終わる/韓国人は日本が嫌い......。日韓関係悪化に伴い議論が噴出しているが、日本人の韓国認識は実は間違いだらけ。事態の打開には、データに基づいた「ファクトチェック」がまずは必要だ――。木村 幹・神戸大学大学院国際協力研究科教授が寄稿。

◇ ◇ ◇

1.【2万8000人】在韓米軍兵力

朝鮮戦争の休戦以降、韓国に駐留する米軍の最も大きな役割は、約61万8000人の韓国軍と共に朝鮮半島での大規模な武力紛争を抑止すること。しかし在外米軍の駐留費負担増を各国に求めるトランプ米大統領は、在韓米軍についても規模の縮小までちらつかせつつ韓国側の負担引き上げを要求。今年2月には韓国側負担の約8%増で合意が成立した。韓国での動向は、約5万5000人の在日米軍を抱える日本にとっても対岸の火事では済まない。

2.【50キロ】首都ソウルから北朝鮮までの距離

韓国の総人口5163万人の50%以上がソウルとその周辺都市に居住。人口が集中する首都圏だが、ソウルは北緯37度34分に位置し、北朝鮮との軍事境界線から目と鼻の先だ。昨年南北首脳会談が開かれた板門店は、軍事境界線上にあり観光地ともなっているが、ソウル中心部の青瓦台(大統領府)から直線距離で約50キロしか離れていない。有事になれば数時間で首都に戦火が迫るとも言われる。

3.【323万円】大卒初任給(年額)

韓国の就職情報サイト「インクルート」が発表した今年の大卒初任給の予想平均額(年額)は、大企業3576万ウォン(約358万円)、中堅企業3377万ウォン(約337万円)、中小企業2747万ウォン(約275万円)で、平均3233万ウォン(323万円)だった。一概に比較はできないが、日本とあまり変わらない。ちなみに別の就職情報サイト「サラムイン」によると、最も就職したい企業に選ばれたのはサムスン電子。次いで、カカオトークで有名な大手テック企業カカオが人気。

4.【9人】悲惨な晩年を迎えた大統領

文在寅(ムン・ジェイン)以前の大統領計11人のうち、在任中もしくは退任後に「何もなかった」のは金泳三(キム・ヨンサム)、金大中(キム・デジュン)の2人だけ。初代の李承暁(イ・スンマン)はアメリカに亡命。その後もクーデターで失脚したり、暗殺されたり、収賄などの罪で逮捕されたりと散々な目に遭っている。金泳三と金大中にしても、就任前には暴漢に襲われたり、日本滞在中に拉致されたりした。韓国で大統領を務めるのは大変だ。

5.【25.8人】10万人当たりの自殺者数

OECD加盟国35カ国の中で最も自殺率が高く、10万人当たり25.8人(2018年)。日本も自殺者が多いとされるが、日本の16.6人を圧倒している。その背景には「ヘル朝鮮」がある。厳し過ぎる受験戦争、高い若年失業率など韓国社会の生きづらさを自虐的に形容する、Hell(地獄)と朝鮮を合わせた造語で、2015年頃から若者たちの間で使われるようになった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イランとイスラエル、再び互いを攻撃 米との対話不透

ワールド

米が防衛費3.5%要求、日本は2プラス2会合見送り

ビジネス

トヨタが米国で値上げ、7月から平均3万円超 関税の

ワールド

トランプ大統領、ハーバード大との和解示唆 来週中に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「過剰な20万トン」でコメの値段はこう変わる
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    全ての生物は「光」を放っていることが判明...死ねば…
  • 6
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 7
    「巨大キノコ雲」が空を覆う瞬間...レウォトビ火山の…
  • 8
    【クイズ】次のうち、中国の資金援助を受けていない…
  • 9
    マスクが「時代遅れ」と呼んだ有人戦闘機F-35は、イ…
  • 10
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 3
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 4
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 7
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 8
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 9
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 10
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 10
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中