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世界経済2019ビットコイン価格の乱高下は、投機ではなく投資になるまで続く
ビットコインの価格は19年の年初の水準からまだ大幅に下がる恐れがある Illustration by Ershui1979/iStock.
<仮想通貨の透明性の欠如と市場のファンダメンタルズに対する理解不足が相場を読みづらくしている>
仮想通貨ビットコインの下落傾向が止まらず、1ビットコイン(BTS)の価格が3000ドルを割り込む可能性も出てきた。大方の予想では2000~3000ドルの間で落ち着くとみられている。3800ドル近辺で推移している19年の年初の水準から、まだ大幅に下がる恐れがあるということだ。
ビットコインは17年12月17日に史上最高価格(1万9783ドル)を記録した後、18年には下落基調に転じた。特に11月は月初に6300ドルを上回っていた価格が月末には4000ドルを割り込み、月間ベースで35%超の大幅下落となった。
危機管理が専門で、カントリーリスク・ソリューションズCEOのダニエル・ワグナーは、今年も乱高下が続くと予想する。「ピーク時の10~15%程度、2000ドル前後でいったん落ち着き、そこから再びバブル相場へと転じるとみている。この予想に外れはないだろう」
一方、調査会社コンティニュアム・エコノミクスのマイク・マクドナルド上級テクニカルストラテジストは、ここ数カ月内に3000ドルを割った後は2500ドル近辺で落ち着くのではないかと予想。いま下落が止まらないのは「相場の乱高下に恐れをなした投資家が資金を引き揚げたせい」とみる。
18年5月下旬にも「心理的な節目」とされた7500ドル割れの後で若干持ち直す場面もあったが、長くは続かなかった。9~10月に6000~7000ドルあたりで落ち着くかに見えた途端、11月の大暴落に見舞われた。「弱気になった個人投資家たちが一斉に売りに回った」ことと同じことがいま起きていると、マクドナルドはいう。
「誕生から約10年、仮想通貨の暴落は珍しくない。今回はその幅が大きかっただけ」とワグナー。規制や監督の強化の不確実性のみならず、仮想通貨自体に対する信頼の揺らぎが、相場の足を引っ張っていると指摘する。
ビットコイン価格の安定には、投機ではなく投資として育てる視点が必要だとアナリストたちは言う。透明性の欠如と、市場のファンダメンタルズに対する理解不足が相場を読みづらくしている。仮想通貨取引の半分以上が追跡不可能なダークウェブ(闇ウェブ)で行われているというが、こうした取引を市場から締め出せば、これほど大幅な乱高下は減るかもしれない。
まずは資産の定義から
相場が安定すれば、ビットコインは資産の一種として認識されるようになるだろう。すると新たな問題、つまり仮想通貨をどの「資産」に分類すべきかについて、アナリストの間に共通認識がないという問題が浮上しそうだ。
資産としての地位を確立するためには、金融当局は「投資商品」として定義し、規制・監督する法整備を行う必要に迫られるだろう。金に代わる投資対象とみるアナリストもいれば、外国通貨と競合すると考えるアナリストもいる。
ワグナーは「まだ存在しない」新しい資産に位置付けられるようになると予想。特質上、通貨よりもある種の証券に近いと考えている。「おそらくその分類が最も合理的で、当局にとっても都合が良い」
資産分類が確定すれば評価も高まり、それが追い風となり、市場に上昇機運が出てくるかもしれない。だがそれには数年かかるだろうとワグナーは言う。
「法規制の整備が進み状況が一変するとしても、それまでは今のような乱高下が続くだろう」
<本誌2019年01月15日号掲載>
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