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ウイグル弾圧は中国宗教迫害の序章なのか

China’s Muslims Brace for Attack

2019年1月18日(金)17時10分
ジェームズ・パーマー (フォーリン・ポリシー誌シニアエディター)

「国家宗教事務局は宗教と党の間で、極めて重要な緩衝材の役目を果たしていた」。長年、中国の宗教NGOと仕事をしてきた匿名希望の欧米人はそう指摘する。「だが、事務局はあからさまな管理の道具に変化してしまった。以前は宗教をうまく機能させるために存在していたが、今では宗教を党のために機能させることが存在目的だ」

一方で、地方政府幹部は党内部で疑心暗鬼が強まる中で圧力にさらされている。そのため寛容な政策を捨てて、強圧的な手段を取らざるを得ない状況だ。

信者を取り巻く環境は厳しさを増している。キリスト教徒は各地で弾圧の嵐に直面しており、著名な聖職者の逮捕や教会閉鎖、聖書のオンライン販売禁止や十字架の撤去も起きている。チベット仏教への監視はこれまで以上に強化され、道教や仏教の場合でさえ建築許可申請を拒否されたり、公的な手続きが複雑化したりする羽目になっている。

とはいえ中国政府による宗教弾圧の最も顕著な例で、おそらく最も悪辣なのがイスラムへの敵意だ。その主な要因は、新疆ウイグル自治区で全体主義的体制が採用されたことにある。同自治区の治安当局は今や、どんなイスラム教の慣行も潜在的な過激主義の兆しと見なす。

ウイグル人への弾圧が強まっていたこともあって、その他のイスラム教徒はこれまである程度見過ごされていた。だが現在では、ほかの地域も新疆ウイグル自治区の過酷な反イスラム活動に倣い始めている。テロ対策に弱腰、あるいはイスラムのシンパだと中央政府に疑われては困るからだ。

「ハラール化」への怒り

不安がとりわけ強いのが、イスラム教徒家庭に生まれた党幹部だ。党に忠誠を誓いながら、ひそかに信仰に共感を抱く「裏切り者」として逮捕されたウイグル人幹部は数多い。

「回族出身の幹部は以前、回族問題に慎重に対処する手助けをしてほしいと、中国政府に頼られていた」と、イスラム教徒自治区に勤務する漢族の公務員は語る。「だが今では、回族出身なら回族に2倍厳しくしなければならない」

中央政府の動きは、国内に広がるイスラム嫌悪に後押しされている。ウイグル人差別は昔から存在するが、かつては信仰ではなく民族性が主な理由だった。新たな形の反感が芽生えたのは、14年3月に中国南部雲南省の昆明で起きたテロ事件がきっかけ。34人が犠牲になった事件の犯人はウイグル人過激派だった。

イスラムを嫌う中国人の想像力が生み出したのが、何もかも「ハラール化」する運動が起きているという主張だ。

食べ物は往々にして衝突の火種になってきた。ウイグル人の若者がしばしば文化的抵抗の証しとして非ハラールの店での飲食を拒む一方、新疆ウイグル自治区では、イスラム教が禁じる豚肉を強制的に食べさせる行為が日常化している。

イスラム嫌いの中国人にしてみれば、都合を押し付けているのはイスラム教徒のほうだという不満がある。そうした心理の背景には複数の不安が潜む。

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