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イギリス

英空港を襲ったドローン騒ぎ、「そもそもドローンなんかなかった」!?

2018年12月25日(火)18時30分
松丸さとみ

REUTERS/Toby Melville

<ロンドン南部のガトウィック空港にドローンが入り込み、19日から21日まで滑走路は断続的に閉鎖。35万人以上が影響を受けたが、「そもそもドローンはなかった可能性がある」との見方も出てきた...>

乗客14万人が足止め、影響を受けたのは35万人に上るとも

イギリス人たちが1年で最も楽しみにしている時期と言えるのが、クリスマスだ。しかしクリスマスを休暇先で過ごそうと心躍る思いで空港へ向かったのに、そこで足止めを食うはめになった人たちが続出した。

クリスマスを目前にした先週19日、ロンドン南部にあるガトウィック空港に不審なドローンが入り込み、航空機の発着ができなくなったのだ。ガトウィック空港は英国第2の規模を誇り、国際便も多く乗り入れている。ドローンが見つかっ た19日から、容疑者2人が逮捕される21日まで、3日間にわたって滑走路は断続的に閉鎖された。

テレグラフ紙がガトウィック空港の広報担当者の話として伝えたところによると、この間、約1000便がキャンセルまたは着陸場所の変更を余儀なくされ、乗客14万人が影響を受けたという。英デイリーメール紙は、今回の混乱でクリスマス休暇を予定通り過ごせなかった人の数は35万人に上ったとしている。

「そもそもドローンなんてなかった」との見方も

最初にドローンが見つかったのは、19日の夜9時ごろ。すぐに数百のフライトがキャンセルされ、行き場をなくした乗客が空港内に溢れかえった。英ガーディアン紙(22日付)によると、当局が点検し運行を再開しようとするたびにどこからともなくドローンがまた現れ、断続的にフライトが再開したりキャンセルしたりという状態が続いたという。

サセックス警察は21日、47歳の男性と54歳の女性を容疑者として逮捕した。民間航空便用の空港で運行や人命の安全を脅かした疑いだった。しかし、36時間の拘束の後、「もはや容疑者ではない」として2人は釈放された。さらに、この事件を担当する巡査長が「そもそも最初からドローンなんてなかった可能性がある」と発言したことで、この騒ぎは謎に包まれた。ドローンがガトウィック空港の空域に侵入している様子をとらえた画像や動画は1本もないというのだ。

とは言え、ドローンの目撃情報は19〜21日の3日間で合計67件届いており、前述の巡査長は後にドローンは実際に飛んでいたとの見方を改めて示した。23日付のガーディアンによると、壊れたドローンも発見されており現在警察が詳しく調べているが、証拠は雨で流されてしまった可能性があるという。ガトウィック空港側は、犯人逮捕につながる情報を提供した人には5万ポンド(約700万円)の懸賞金を提供するとしている。

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