最新記事

生きるために自分の足を噛みちぎった犬ルークの強さ

Starving, Chained Dog Ate Own Foot To Survive, Owners Charged

2018年12月7日(金)14時40分
バイシュナビ・バイダナサン

大きな体に似合わず穏やかな性格のグレート・デーンを悲劇が襲った gsagi-iStock.

アメリカのサウスカロライナ州で、かわいそうな動物には慣れている動物レスキュー団体がフェイスブックで「今までで一番悲しいケース」「魂が痛む」という事件が起こった。

11月19日、住民から警察に通報があった。「(屋外で)ケーブルにつながれてひどく痩せたグレート・デーンが、逃げるために自分の足を噛みちぎった」

駆け付けた警察官はこう報告している。「フェンスに近づくと、痩せた黒いグレート・デーンが見えた。右側の後ろ足にケガをしているようだった。近づいてみると、足は半分なくなっていた」

動物レスキュー団体の「ノアの箱舟」は、ルークという名のこのグレート・デーンを保護したときのことを12月3日のフェイスブック・ページにこう記している。「彼は極限まで飢えていて、歩く力が残っているのが驚きだった。眼球は奥まで窪み、炎症を起こした両目と鼻腔からは絶えず汁が出ていた。病気の犬はたくさん見てきたが、ルークの扱いは非人道的なんてものじゃない」

「ルークの足は痛み止めも効かないほどの痛みで、ひどく化膿していた。抗生物質を与えても膿が止まらなかった」

ルークは、緊急な治療を要する腸の病気にもかかっていた。それでもルークは諦めない。生き延びるために何でも食べようとするという。

飼い主は逮捕

「ルークは今も生死の境をさまよっている状態だ。今生きていることのほうが奇跡に思える。生き延びるために自分の足を噛みちぎったルークは心の強い犬だ。誰にも顧みられなくても、戦って生き残った」

ルークの飼い主は32歳と28歳の男女で、動物虐待容疑で逮捕された。ルークをつないだままどれだけ放置したのか、2人の言い分は食い違う。足のケガは、獣医に連れて行くお金がないので、自分たちで治療しようと思ったという。

この飼い主から自由になれたことも、ルークが勝ち取った勝利。あとは生きて命をまっとうするだけだ。

ニューズウィーク日本版 世界も「老害」戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月25日号(11月18日発売)は「世界も『老害』戦争」特集。アメリカやヨーロッパでも若者が高齢者の「犠牲」に

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、高市首相の台湾発言撤回要求 国連総長に書簡

ワールド

MAGA派グリーン議員、来年1月の辞職表明 トラン

ワールド

アングル:動き出したECB次期執行部人事、多様性欠

ビジネス

米国株式市場=ダウ493ドル高、12月利下げ観測で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワイトカラー」は大量に人余り...変わる日本の職業選択
  • 4
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 5
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    ロシアのウクライナ侵攻、「地球規模の被害」を生ん…
  • 9
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 9
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中