最新記事

米中関係

「キッシンジャー・習近平」会談の背後に次期米大統領候補

2018年11月12日(月)10時19分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

そのブルームバーグ氏は、通信社「ブルームバーグ」主催で、「Bloomberg New Economy Forum(ブルームバーグ 新経済フォーラム)を今年11月6日から7日にかけてシンガポールで開催した。

メイン・スピーカーに王岐山国家副主席を選び、フォーラムにはキッシンジャーやポールソン元米財務長官(ゴールドマン・サックス出身)あるいはゴールドマン・サックスのCSO(最高戦略責任者)であるコーエン氏などを招待している。

奇妙なのは、招待者の最後に、あのバノン氏の名前もあることだ。バノンと王岐山は前に会っており、その関係から言えば不思議ではないが、米側は「反トランプ陣営」で揃えているので、露骨さを避けるためにバノンにも声を掛けたと見るべきかもしれない。バノンはフォーラム開催のギリギリになって招待者の中に名を連ねたようだ。もっとも、バノンもまたゴールドマン・サックス出身の人間ではあるが。

ブルームバーグ氏は壇上で王岐山と熱烈な握手を交わし、親密さをアピールした。

キッシンジャーは、このフォーラムへの参加を終えた後に、その足で北京に向かった。だから習近平と会談したのは11月8日になったわけだ。王岐山とは北京でも対談しているので、二人は短期間に2回も会談したことになる。

親中派の米財界人が翻すトランプ政権への反旗

ここから「どのような風景」が見えるだろうか?

トランプ政権はたしかに習近平政権への圧力を高め、ペンス副大統領などは今年10月4日にアメリカのハドソン研究所で激しい対中強硬演説を行っている。

しかし、政権が代わったら、どうなるだろうか?

実は反トランプ陣営は、いわゆる対中強硬派でもある民主党議員ばかりではない。

反トランプであると同時に、激しい親中派が米大財閥には大勢いて、習近平を取り巻いているのである。

それがキッシンジャー・アソシエイツの洗礼を受けた米財界人の一群だ。

習近平の母校である清華大学の経済管理学院には顧問委員会というのがあって、ほとんどを米大財閥のCEOや元CEOなどが占めている。彼らの多くは、キッシンジャー・アソシエイツの顧客として中国入りをしてきた。メンバーの中にはポールソンのように、元米財務長官だった大物もいれば、ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェース、ゼネラル・モーターズ、ブラック・ストーン......などの会長やCEOといった老練、あるいは新しいところではスペースXのイーロン・マスクやフェイスブックのマーク・ザッカーバーグなども顔を揃えている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ギリアド、免疫疾患薬のバイオ技術企業を20億ドル

ワールド

原油先物は1%超反発、イランが米との協議否定 供給

ワールド

豪・EUが貿易協定締結、世界的な貿易摩擦が交渉を後

ワールド

ベネズエラで続く深刻な外貨不足、中堅・中小企業にし
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 2
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」した──イスラエル首相
  • 3
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 4
    「胸元を強調しすぎ...」 米セレブ、「目のやり場に…
  • 5
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 6
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 7
    スウェーデン次期女王ヴィクトリア皇太子、陸軍訓練…
  • 8
    「カメラの目の前」で起きた爆発の瞬間...取材中の記…
  • 9
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 10
    イラン戦争の陰で悪化する「もう1つの戦争」とは?
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中