最新記事

軍事

【動画】ロシア軍機が米軍機をインターセプト

Watch: Russian Fighter Jet Intercepts US Navy Aircraft Over Black Sea

2018年11月7日(水)16時00分
ススミタ・スレシュ

モスクワ郊外の航空ショーでアクロバット飛行を見せるSu-27 (2015年8月)Maxim Shemetov-REUTERS

<黒海上空を飛ぶ米軍偵察機にロシア軍機が2度、異常接近。乱気流と振動を起こした>

11月5日(現地時間)、ロシアの戦闘機が米軍の偵察機に危険を顧みないプロらしからぬ方法で近づく異常接近(ニアミス)事件があった。アメリカ海軍第6艦隊(ヨーロッパ、アフリカ担当)の報道官が発表した声明によると、ニアミスが起きたのは黒海上空の国際空域だった。

声明では、ロシアの戦闘機SU-27と米海軍の偵察機EP-3の異常接近は、25分にわたって続いたと述べている。CNNの取材に答えた米軍の幹部3人は、ロシア側の戦闘機は米軍機の前を高速のまま通過したと証言した。

CNNによると、ロシアの戦闘機は最初、高速で米軍機の前を通過、その後乱気流が起こったと米軍機の乗組員は報告している。直後、Su-27は再びEP3に接近し、機体を傾ける操作をしながらアフターバーナーで一気に加速したという。米軍機の乗組員はその時、機体の振動を感じたと言っている。

米海軍は以下のように述べている。「EP-3の乗組員は、最初の異常接近により乱気流、2度目には振動が起きたと報告している。(中略)異常接近は無責任な行動だ」

(アメリカ海軍:黒海でロシアのSU-27戦闘機が米EP-3偵察機を妨害。操縦士と乗組員を危険にさらした)


声明は、以下のように続けた。「我々はロシア軍に対し、安全を確保し不測の事態を防ぐために定められた国際基準に従って行動するよう要求する。1972年に定められた海上事故防止協定(INCSEA)もその一つだ。基準から逸脱した行為は判断ミス、ひいては空中衝突のリスクを高める」。そして、米軍機は国際法に従って飛行しており、「このようなロシアの行動を引き起こすような行為は行っていない」と付け加えた。

普通の接近とは正反対

米軍幹部はCNNに対し、ロシアの戦闘機がEP-3にどこまで近づいたかは推測できないと述べている。ただし、今回のニアミスが安全か否かを判断する上では、距離よりは飛行時の挙動がカギとなるという。

米国防総省のエリック・パホン報道官は、「ロシア機はアフターバーナーで加速し、(米軍機は)大きく揺れた」と言う。「この行動で我々は警戒した......あまりに近くまで接近していたからだ」と述べた上で、EP-3はトランスポンダー(自動送受信無線機)をオンにしていたが、ロシア機との間に交信はなかったことを明らかにした。「彼らが無線通信を行わなかったため危険が増した」

在駐米ロシア大使館も5日、この件に関し公式ツイッターで短い声明を発表。ロシア機は「必要なすべての安全手順に従っていた」とした。

(在米ロシア大使館:Su-27からアメリカのEP-3偵察機を発見、追尾すると連絡があった。ロシアの領空を侵犯させないためだ)


「ネイビー・タイムズ」紙が指摘するように、ロシア軍機による接近は日常的に起きている。国防総省の幹部によれば、その大半は安全かつプロフェッショナルなやり方で行われている。しかし今回の一件は、こうした通常の接近とは180度異なるものだったと、パホンは強調した」

(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ハンガリー首相と会談 対ロ原油制裁「適

ワールド

DNA二重らせんの発見者、ジェームズ・ワトソン氏死

ワールド

米英、シリア暫定大統領への制裁解除 10日にトラン

ワールド

米、EUの凍結ロシア資産活用計画を全面支持=関係筋
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 7
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中