最新記事

LGBT

同性キス写真で拘束、女装には消防車で放水リンチ LGBTへ人権侵害続くインドネシア

2018年11月7日(水)19時55分
大塚智彦(PanAsiaNews)

見せしめとして放水による「お清め」というリンチをされたトランスジェンダーの3人 Andreas Harsono - Twitter

<来春の大統領選を控え、法秩序よりもイスラムの規範が少数派を圧迫している>

世界最大のイスラム教徒人口を擁するインドネシアで、性的少数者の「LGBT(レスビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)」に対する当局などによる違法な人権侵害事件が続発し、人権団体や保護組織などが批判の声を強める事態となっている。

インドネシアは人口の大多数をイスラム教徒が占めるもののイスラム教を国教とはしておらず、他宗教も容認する「多様性」と「寛容」を国是としている。しかし現実にはイスラム教の規範が優先される傾向が強く、宗教的少数者とならんで性的少数者も人権侵害や迫害の対象となっている。

スマトラ島西スマトラ州パダン市で11月6日までに同性愛行為の疑いで女性10人が当局の身柄を拘束された。地元からの報道等によると、23歳から31歳の女性はお互いに抱擁したりキスしたりする写真をfacebookに投稿していた。

この写真をみつけた地元警備当局者が調査の結果、10人の身元を特定して東パダン、南パダンで身柄を拘束。パダン市当局に引き渡したという。

10人の女性のうち5人は一緒に生活していたほか、ネット上のグループには約30人が参加していたとして、残るメンバーについても身元特定を当局は急いでいるという。

当局は「女性同士の"抱擁やキス"が同性愛行為とみられる」と身柄拘束の理由を明らかにしている。拘束された10人の女性が実際に同性愛者かどうかについては伝えられていない。

参考記事:反LGBT気運が強まるインドネシア 外国人含むゲイら58人を逮捕

見せしめに消防車から放水して"お清め"

11月2日夜には、スマトラ島南部ランプン州西プシシール地方の観光地で、自警団組織が夜間パトロール中、女装した男性ら3人を発見した。3人は男性から性転換したトランスジェンダーで、インドネシアの伝統的な風紀、習慣にそぐわない、との理由で私的制裁を受ける事件が起きた。

3人は道路に立たされ、そこに消防車から放水が浴びせられたのだ。自警団関係者などによるとこれはイスラム教の「ジュヌッブ」という性行為などの後に身を清める「ワジブ」であると主張し、3人の「身を清めるための沐浴である」と放水を正当化していたという。

この放水の様子は見せしめとして自警団が撮影してインターネット上のソーシャルネットワークに投稿していた。

自警団の撮影した写真はLGBT支援者たちの怒りと共に広まった。Andreas Harsono - Twitter

ニュース速報

ビジネス

米GDP、4─6月期6.5%成長 コロナ前の規模回

ワールド

核協議、無期限に続けることできず 「ボールはイラン

ビジネス

米失業保険申請40万件、予想ほど改善せず

ワールド

イスラエル、コロナワクチン3回目接種へ 60歳以上

MAGAZINE

特集:モデルナの秘密

2021年8月 3日号(7/27発売)

コロナワクチンを高速開発したベンチャー企業モデルナの正体とmRNA治療薬の可能性

人気ランキング

  • 1

    1匹だけみにくい子猫、病気と思ったら「オオカミ」だった

  • 2

    「競技用ショーツが短すぎて不適切」英パラ代表選手、審判の指摘に絶句

  • 3

    東京五輪、視聴率苦戦の根本理由

  • 4

    地球帰還のベゾス氏、空気を読まない発言に怒りが集…

  • 5

    競泳界の「鉄の女」が水の上を歩く奇跡の一枚

  • 6

    チベットの溶ける氷河から、約1万5000年前の未知のウ…

  • 7

    ファーウェイ制裁の不透明な真実、グーグルはNGだが…

  • 8

    東京五輪、男子バスケ米代表は史上3番目の高齢者チーム

  • 9

    「謝らない謝罪」が日本で蔓延している

  • 10

    なぜ日本男子は世界で唯一、女性より幸福度が低くなる…

  • 1

    1匹だけみにくい子猫、病気と思ったら「オオカミ」だった

  • 2

    「無駄に性的」罰金覚悟でビキニ拒否のノルウェー女子ビーチハンド代表

  • 3

    「競技用ショーツが短すぎて不適切」英パラ代表選手、審判の指摘に絶句

  • 4

    チベットの溶ける氷河から、約1万5000年前の未知のウ…

  • 5

    競泳界の「鉄の女」が水の上を歩く奇跡の一枚

  • 6

    「三国志」は日本人も中国人も大好き(でも決定的な…

  • 7

    東京五輪は始まる前から失敗していた

  • 8

    国際交流を奪われた悲しき五輪で角突き合わせる日本…

  • 9

    東京五輪、視聴率苦戦の根本理由

  • 10

    肩こりや腰痛に悩む人がハマる大きな失敗 「姿勢をよ…

  • 1

    1匹だけみにくい子猫、病気と思ったら「オオカミ」だった

  • 2

    加害と向き合えない小山田圭吾君へ──二度と君の音楽は聴きません。元いじめられっ子からの手紙

  • 3

    20万円で売られた14歳日本人少女のその後 ──「中世にはたくさんの奴隷がいた」

  • 4

    「無駄に性的」罰金覚悟でビキニ拒否のノルウェー女…

  • 5

    「1日2個、カットしてスプーンで食べるだけ」 メンタル…

  • 6

    「競技用ショーツが短すぎて不適切」英パラ代表選手…

  • 7

    人間のオモチャにされたイルカ死ぬ──野生動物に触る…

  • 8

    韓国で、日本製バイクの販売が伸びている理由

  • 9

    テスラ6月に発売した新型「モデルS」運転中に発火=所…

  • 10

    ある日突然「人工透析です」と告げられたら? 高血圧、…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

投資特集 2021年に始める資産形成 英会話特集 Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メンバーシップ登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら
World Voice

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中

STORIES ARCHIVE

  • 2021年7月
  • 2021年6月
  • 2021年5月
  • 2021年4月
  • 2021年3月
  • 2021年2月