最新記事

米最高裁

トランプが最高裁判事候補に指名した「童貞」発言のカバノーは、集団レイプも計画していた?

Kavanaugh Defends Himself With Past Virginity

2018年9月26日(水)19時20分
デービッド・ブレナン

上院司法委員会の指名承認公聴会で証言するブレット・カバノー判事(9月5日)Chris Wattie- REUTERS

<2人の女性から性的暴行で告発され、指名承認が危うくなったカバノー。テレビに出て、問題の時期にはまだ女性経験もなかったと捨て身の反論で全米を驚かせたが>

ドナルド・トランプ大統領の指名を受けて米連邦最高裁判事候補となったブレッド・カバノーは9月24日、フォックス・ニュースに出演し、最近浮上した2件の性的暴行疑惑を否定。事件があったとされる高校時代と大学時代の数年間は、童貞だったと語った。

現在、連邦控訴裁判所の判事を務めるカバノーは、男子高ジョージタウン・プレップスクールからエール大学に進んだエリートだが、当時の知り合いの女性が相次いで被害を訴え出た。近く3人目が名乗り出るという情報もある。

指名を承認する上院採決の直前に持ち上がったこの性スキャンダルで、一時は確実と思われたカバノーの最高裁判事就任は危うくなってきた。テレビでの驚くほどあけすけな童貞発言は、承認をめざすトランプと共和党にとって大きくなり過ぎたスキャンダルの流れを変え、主導権を取り戻すためのものだった。

最初にカバノーを告発したのは、カリフォルニア州パロアルト大学の心理学者クリスティン・ブラジー・フォード教授。1982年に高校のパーティーでカバノーに襲われたという。当時、フォードは15歳、カバノーは17歳。カバノーと彼の友人マーク・ジャッジはフォードを2階の寝室に招き入れ、カバノーが彼女を押さえつけ、手で口を覆い、服を脱がそうとしたという。

そして9月23日、2人目の告発者が現れた。エール大学でカバノーの同級生だったデボラ・ラミレスで、1983~84年度にカバノーは寮のパーティーで自分の性器を見せたと訴えている。ラミレスによれば、カバノーは飲酒ゲームの最中に、彼女の顔面に自分のペニスを突きつけたという。

告発者も性行為は否定

24日に妻アシュリー・エステスと共にフォックス・ニュースに登場したカバノーは、司会者マーサ・マッカラムに対し、2件の告発を全面的に否定した。

カバノーは、高校卒業後もずっと、性交や「それに近い行為」に及んだことはなかったと言った。マッカラムは「つまり、わいせつ行為があったとされる問題の時期には童貞だったと言うのですね?」と尋ねた。カバノーは答えた。「そのとおり」

マッカラムは、大学時代はいつまで童貞だったのかと尋ねた。「何年も、とだけ言っておこう。何年も経ってからだ」と、カバノーは答えた。

もっとも、告発した2人の女性はいずれも、カバノーと性交はしていないと言っている。

この告発に対するカバノーの公式な回答を待つため、カバノーの連邦最高裁判事就任を承認する投票は延期された。フォードも27日に上院司法委員会で証言することになっている。

ミッチ・マコネル上院議員(共和党)はこれらの告発を、カバノーの承認手続きを遅らせようとする民主党による組織的中傷、とはねつけ、共和党はカバノーの指名承認に向けて突き進むと述べた。

共和党がカバノーを擁護するのは、保守派の彼の指名が承認されれば、9人の最高裁判事のうち5人が保守派になるから。人工妊娠中絶を禁止するのも、銃規制を緩和するのも、自由自在、ということになりかねない。トランプの狙いもそこだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:日米為替声明、「高市トレード」で思惑 円

ワールド

タイ次期財務相、通貨高抑制で中銀と協力 資本の動き

ビジネス

三菱自、30年度に日本販売1.5倍増へ 国内市場の

ワールド

石油需要、アジアで伸び続く=ロシア石油大手トップ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中