最新記事

ネットビジネス

打倒ECの巨人アマゾン 実店舗持つウォルマートが挑むラストマイル配送の壁

2018年8月5日(日)17時35分

イーストブランズウィックの店舗では、荷物1個当たり2ドルをアソシエイトに払っていた。半径10マイル以内の通常配達ルートに、3─5件の配達先があったという。また、走行距離1マイル当たり54セントのガソリン費補助があり、これは昨年の全国基準の53.5セントを超えていた。また時間外勤務手当も追加されたという。

しかし、同プログラムに参加した従業員によれば、シフトが終ったあとも、配達商品が集まるのを店舗で待つため、通常少なくとも30分は無駄にしたが、その時間に対する補償はなかったという。

週40時間の労働を終えた後、商品配達に1時間以上かかった場合でも、ウォルマートは1時間を超える時間外手当を出さなかったという。ウォルマートはこの主張に対して、40時間を超えた分については従業員に時間外手当を払ったと反論している。

プログラムに参加した16人全員が、5個の荷物を配達するために、通常2時間以上はかかったと言う。この配達に10マイル運転した場合、荷物当たりの報酬とガソリン代の補助を合わせて、時間外手当以外に15ドル40セント稼ぐことになる。

競合するアマゾンではどうだろうか。一般人に宅配を委託する「アマゾン・フレックス」のウェブサイトによれば、同社は外部委託ドライバーに配達1時間あたり18─25ドルの報酬を払っており、燃料費はドライバーの自己負担だ。アマゾンはコメントしなかった。

ウォルマートのある従業員は、通常の給与より100ドル多く稼げたのは1回だけで、週末に10口以上の配達をこなしたときだったと言う。「労力に見合う報酬ではなかった。最終的には、距離換算での燃料費補助も出なくなってしまった」とこの従業員は匿名で語った。

取材した16人のウォルマート従業員のうち12人は、プログラムが中止される直前の配達については、ガソリン代補助の支払いがなかったと話す。ウォルマートは、コメントしなかった。

事故や荷物紛失のリスクや賠償責任そして保険について、ウォルマートがその責任を負うのかどうかが明確ではなかったという。

現在、ウォルマート内部で「アソシエイト宅配2.0」と呼ばれる試みが、ジョージア州ウッドストックで配送ドライバーとして雇用された4人の従業員によって進められている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏のウクライナ占領目標は不変、米情報機関が

ビジネス

マスク氏資産、初の7000億ドル超え 巨額報酬認め

ワールド

米、3カ国高官会談を提案 ゼレンスキー氏「成果あれ

ワールド

ベネズエラ沖で2隻目の石油タンカー拿捕、米が全面封
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 6
    70%の大学生が「孤独」、問題は高齢者より深刻...物…
  • 7
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 8
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    ウクライナ軍ドローン、クリミアのロシア空軍基地に…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中