最新記事

中国経済

中国ファンド業界、規制強化と株安でダブルパンチ

2018年7月11日(水)09時25分

 7月9日、中国のファンド業界が、政府によるレバレッジ抑制政策に加え、米中貿易摩擦を嫌気した株式市場の下落に見舞われ、苦境を迎えている。北京の証券会社で6日撮影(2018年 ロイター/Jason Lee)

中国のファンド業界が、政府によるレバレッジ抑制政策に加え、米中貿易摩擦を嫌気した株式市場の下落に見舞われ、苦境を迎えている。

市場の混乱に襲われた2015年など過去の局面では、金融緩和政策と規制緩和によってなんとか持ち直すことができた。

しかし今は、中国人民銀行(中央銀行)が金融システムから過剰流動性を吸収しようとしているため、痛みは長引きそうだ。

また、米中が6日に関税を掛け合って貿易摩擦が白熱しているため、中国株はさらに下落する恐れがあり、一部のファンドにとっては最後の一撃となるかもしれない。中国株<.CSI300>は6月下旬から10%も下落し、2年ぶり安値に沈んでいる。

Zベン・アドバイザーズの調査責任者、イバン・シー氏は「これほど悪い市況が続けば、ファンドの清算はさらに増えるだろう」と言う。

モーニングスターがカバーしている中国の株式ミューチュアルファンド800本強のうち、今年プラスのリターンを達成しているのは10本に満たない。

当局は昨年、銀行に株式と債券の投資縮小を促すことを狙って資産運用規則改正の大枠を示し、その影響は、米中貿易戦争の懸念が高まる前から出始めていた。株式による資金調達は限界まで減り、解約と清算が急増した。

株式の買いポジションのみで運用するロングオンリーのミューチュアルファンド5000本余りのうち、今年上半期に161本が清算された。Zベン・アドバイザーズのデータによると、清算本数は昨年1年間の102本から急増。その前の6年間は、2015年の30本が最大だった。

株と債券の両方に投資するファンドも似たような状況で、上半期には全体の18%に相当する2800億元が解約された。昨年1年間の解約額は約3300億元だった。

大半のファンドがロングオンリーで規模が比較的小さい私募ファンド業界は、特に強い打撃を受けている。業界データによると、私募ファンドの資金調達は着実に減っており、5月は23億9000万元と、前年同月の570億元を大幅に下回った。

ただ、危機時に高いリターンを目指す「クライシスアルファ」戦略をとるファンドには追い風が吹いている。

(Samuel Shen記者 John Ruwitch記者)



[上海 9日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 教養としてのミュージカル入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月17号(3月10日発売)は「教養としてのミュージカル入門」特集。社会と時代を鮮烈に描き出すポリティカルな作品の魅力[PLUS]山崎育三郎ロングインタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

みずほFG、発行済み株式の1.9%の自社株を消却へ

ビジネス

ブルー・アウルのプライベートクレジット、投資会社が

ビジネス

日経平均は反落、一時5万4000円割れ 原油高に反

ビジネス

ホンダ、四輪事業で特損計上し一転赤字予想 最大2兆
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 2
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃に支持が広がるのか
  • 3
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車整備は収入増、公認会計士・税理士は収入減
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 6
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 7
    「邪悪な魔女」はアメリカの歴史そのもの...歌と魔法…
  • 8
    イランがドバイ国際空港にドローン攻撃...爆発の瞬間…
  • 9
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 10
    ホルムズ封鎖で中国動く、イランと直接協議へ
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 6
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 7
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 8
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 9
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 10
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中