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貿易戦争

トランプ関税、企業が強いられるサプライチェーン再構築

2018年6月27日(水)08時47分

 6月25日、米オートバイ製造大手ハーレー・ダビッドソンから小さな新興ハイテク企業に至るまで、開かれた安定的な貿易が行われてきた時代に確立したサプライチェーンの再構築に大わらわになっている。写真は25日、ホワイトハウスでのトランプ大統領(2018年 ロイター/Jonathan Ernst)

米オートバイ製造大手ハーレー・ダビッドソンから小さな新興ハイテク企業に至るまで、開かれた安定的な貿易が行われてきた時代に確立したサプライチェーンの再構築に大わらわになっている。

トランプ米大統領が輸入関税によって世界の貿易態勢を大きく揺さぶる中で、当初様子を見ていた企業が自らの身を守るために動き出した格好だ。

最近になってドイツ自動車大手ダイムラーが、世界的な貿易摩擦の高まりを理由に今年の利益見通しを下方修正した。同じくドイツ高級車メーカーのBMWも米中の通商面の対立を受けて「可能な戦略的選択肢」を検討していると表明。そして25日にはハーレーが、欧州連合(EU)の米国に対する報復関税の影響を受ける欧州向けオートバイの生産を米国から海外に移す方針を示した。

これらの動きからは、「米国第一」主義の下で国際貿易のルール書き換えを目指すトランプ氏が引き起こした世界的な「報復合戦」の火の粉を浴びている企業が何とか対処しようと苦戦している様子がうかがえる。

米オフィス家具メーカーのスティールケースは先週、第1・四半期の米国事業の粗利益率が230ベーシスポイント(bp)も低下したと発表。トランプ政権が導入した鉄鋼・アルミ輸入制限で原材料輸入コストが増大したためだった。

同社は過去4カ月で2回値上げしたものの、今後1─2四半期は利益率が圧迫され続けると警告している。

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