ローマ法王インタビュー トランプの移民親子引き離しを批判「ポピュリズムで解決せず」

6月20日、ローマ法王フランシスコはロイターとのインタビューで、トランプ米政権などの移民政策などを巡り、ポピュリズムは移民問題の解決策にはならないと述べて批判した。写真は同日、バチカンで聴衆に手を振る法王(2018年 ロイター/Stefano Rellandini)
ローマ法王フランシスコはロイターとのインタビューで、トランプ米政権などの移民政策などを巡り、ポピュリズムは移民問題の解決策にはならないと述べて批判した。
法王は17日に行われたロイターとのインタビューで、メキシコ国境から不法入国した親子を別々に拘束するトランプ政権の当初の政策について、親子を引き離す政策は「カトリックの価値観に反する」もので「非道だ」とした米国のカトリック司教の発言を支持すると述べた。
「簡単な問題ではないが、ポピュリズムは解決にならない」と、法王は指摘した。
法王がインタビューに応じるのは異例で、話題は多岐に及んだ。法王は、カトリック教会の司教任命権を巡る中国政府との交渉が歴史的な合意に達する見通しについて、楽観視していると述べた。
また、チリでの性的虐待スキャンダルを巡り、今後も司教の辞任が続く可能性があると語った。
5年の在任期間を振り返り、法王は、教義の解釈が「リベラル過ぎる」との批判がカトリック教会内外の保守派から出ていることについて、自らの指導姿勢を擁護した。
法王はまた、ローマ法王庁(バチカン)の最上級職により多くの女性を登用したいと述べた。
インタビューの中でもっとも厳しい発言の1つは、メキシコ国境から不法入国した移民をすべて訴追し、大人は拘置施設に、子供は親から引き離して政府収容施設で拘束するという、トランプ米大統領が当初掲げていた政策に対するものだった。
子供たちがコンクリート床の施設に閉じ込めらた様子を映したビデオや、泣き声の録音がネット上で拡散し、米国内で怒りの声が噴出しただけでなく、国外からも批判を浴びた。
米国のカトリック司教は、国内の他の宗教指導者と声を合わせ、同政策を批判していた。
「私は、司教の協議の側に立つ」と、法王は米国の司教が今月出した2つの声明について述べた。「これらの事柄について、私は司教の協議を尊重することを明確にしたい」
世界に13億人の信徒を持ち、米国内最大のキリスト教宗派であるカトリック教会の長を務める法王とのインタビューは、トランプ大統領が20日に方針を一転し、不法入国した親子を一緒に収容することを認める大統領令に署名する前に行われた。
米国の移民問題とタイミングを同じくして、欧州でも中東やアフリカの貧困や紛争を逃れてきた多数の移民や亡命希望者を巡って、反移民を掲げる新たな政治勢力が力を増している。
法王は、ポピュリストが移民問題について「精神的な病を作り出している」と批判。欧州のような高齢化社会は「人口統計上の冬」を迎えており、さらなる移民が必要だと指摘した。
移民なしには、欧州は「空っぽになる」と法王は付け加えた。