最新記事

マーケティング

交換部品で荒稼ぎ? 自動車メーカーの「隠れた武器」価格設定ソフト

2018年6月11日(月)10時51分

ルノーやジャガー・ランドローバー、プジョーは、スペア部品を巡る価格戦略は合法的であり、自動車オーナーの弱みに付け込むものではないと説明。効率を重視し、消費者の利便性を確保するものだと主張する。

プジョーは声明で、自らのスペア部品戦略は「購買力に関係なく、あらゆる顧客ニーズに対して最高水準の信頼性や安全性で対応できるよう、幅広いスペアパーツを提供する」ためのものだと述べている。

ルノーは、「顧客に多種多彩な高品質のスペアパーツを提供するよう努めており、その価格は、当社が公平かつ公正であると考える変数に基づいて計算されている」と説明。

またジャガー・ランドローバーは、「スペア部品全体のなかで価格設定に一貫性を持たせ、競合他社に対して適切な価格設定ができる」ように「パートネオ」ソフトを利用していたと語った。

フランスの競争監督当局は、過去に同ソフトの検証を行ったが、本格的な反トラスト調査を開始すべき理由は見当たらなかったと語るが、その判断根拠については説明を避けた。

ルノーは、自社の価格設定に関する非公開情報が他の自動車メーカーに流れたという認識はないと語る。PSAはブーブール氏の告発を退けたと言うが、同社のソフト設定の細部についての質問には回答しなかった。

アクセンチュアは、自身の「パートネオ」ソフトについて、「クライアントとのあいだで機密データや要注意データが共有されることはない」と話している。

「知覚価値」で価格設定

過去20年、価格設定を支援するソフトは広く利用されてきた。

ペンシルバニア大学のアーロン・ロス教授(コンピューター情報科学論)は、顧客が喜んで払うであろう最高価格を見極めるためにソフトを利用することは、メーカーや小売企業のあいだで長年行われてきた慣習の延長にすぎない、と語る。

「ソフトを使わなくても、製品価格は利益最大化を目指して設定される」とロス教授は言う。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英中銀が金利据え置き、量的引き締めペース縮小 長期

ワールド

ガザ全域で通信遮断、イスラエル軍の地上作戦拡大の兆

ワールド

トランプ氏、プーチン氏に「失望」 英首相とウクライ

ワールド

インフレ対応で経済成長を意図的に抑制、景気後退は遠
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 8
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 10
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中