最新記事

宇宙

地球外生命体は、やはりエウロパに存在する、のか? 間欠泉が存在する新たな証拠発見

2018年5月22日(火)15時20分
鳥嶋真也

NASAが2022年の打ち上げを目指す探査機「エウロパ・クリッパー」の想像図 (C) NASA/JPL-Caltech

米国航空宇宙局(NASA)は2018年5月15日(日本時間)、木星の衛星「エウロパ」に間欠泉があることを示す、新たな証拠を発見したと発表した。論文は5月14日発行の学術誌「Nature Astronomy」に掲載された。

エウロパにはかねてより、分厚い氷の大地の下に広大な海があり、そこに生命が存在する可能性も考えられていた。もし間欠泉が存在するなら、その噴き出す水を探査することで、海の環境や生命の有無を調べることができるかもしれない。

木星の衛星「エウロパ」

エウロパは木星の第2衛星で、イタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイによって発見された。同時期に発見されたイオ、ガニメデ、カリストと合わせて、ガリレオ衛星とも呼ばれる。直径は約3120kmで、地球の月に近い大きさをもっている。

過去の探査で、エウロパの表面は数kmの分厚い氷に覆われているものの、その地下には、液体の海があるとされる。この海は、木星との作用によってエウロパの海底で火山活動が起き、その熱によって氷が溶けて生まれたと考えられている。

さらに、水と熱源、そして有機物があれば、生命が生まれる可能性もある。もちろん、私たち人間のような"エウロパ星人"がいるとは考えにくい。だが、たとえば地球の深海には、海底から噴き出すメタンや硫化水素をエネルギー源とする、ちょっと変わった生命がいる。もしかしたらエウロパの海にも、そんな生命が生きているかもしれない。

だが、エウロパの海を探査しようにも、分厚い氷の大地という障壁が立ちふさがる。数kmの氷を突き破るような探査機は、いまの技術では現実的ではない。

jupiter002.jpg探査機ガリレオが撮影したエウロパ (C) NASA/JPL-Caltech/SETI Institute

エウロパの間欠泉

しかし、もしエウロパの大地のどこかが割れ、そこから地下の海の水が噴き出す間欠泉――地球上にもあるような、熱水や水蒸気を噴き上げる温泉があれば、探査機を通過させて観測することで、海を探査したのと同じ成果が得られる。

では、エウロパに間欠泉はあるのだろうか。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

香港GDP、第3四半期は前年比+3.8% 予想上回

ワールド

北朝鮮の金永南・前最高人民会議常任委員長が死去、9

ワールド

高市首相、来夏に成長戦略策定へ 「危機管理投資」が

ワールド

マクロスコープ:国会本格論戦へ、立憲は消費減税で攻
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつかない現象を軍も警戒
  • 3
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に「非常識すぎる」要求...CAが取った行動が話題に
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    「白人に見えない」と言われ続けた白人女性...外見と…
  • 10
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中