最新記事

自動運転車、相次ぐ死亡事故で露見した問題 技術も人もよちよち状態

2018年4月9日(月)16時05分

4月3日、米配車サービス大手ウーバーと電気自動車大手テスラの自動運転車による死亡事故を受け、米自動車専門家は、自動運転車に潜在的危険を検知する能力の基準を設けるべきだと指摘する。米ロサンゼルスの自動車ショーで2016年11月撮影(2018年 ロイター/Mike Blake)

米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズと電気自動車大手テスラの自動運転車による死亡事故を受け、米自動車専門家は、自動運転車に潜在的危険を検知する能力の基準を設けるべきだと指摘。また、ドライバーに常に車のコントロールを取る気構えを保たせる工夫も必要との見方を示した。

自動車メーカーやテクノロジー企業は、自動運転機能で走行中に必要が生じた場合は、人のドライバーが介入することをあてにしている。だが最近起きた2つの事故において、どちらのドライバーも事故が起きる前に何も行動を取らなかった。これら車両は異なる技術を使用している。

自動運転車は、レーダーのようなセンサーやカメラのほか、道路の危険を検出するためにレーザー光を使用するライダーで成り立っている。しかし、こうしたシステムには基準がないばかりか、全てのメーカーが同じ組み合わせのセンサーを使用しているわけではない。一部の車両には盲点がある可能性もある。

ドライバーに注意を促しても、響かないこともよくある。

「思いのほか、人には自動運転に取って代わる能力がない」と、自動運転車の専門家で投資家のエバンゲロス・シモウディス氏は言う。

米アリゾナ州で先月起きたウーバーの事故では、商業利用に向けた完全自動運転システムのテスト中、車両が道路を横断中の女性に衝突し、女性は死亡した。車内から撮影された映像では、ドライバーは道路ではなく、下を向いているように見える。映像が切れる直前になってドライバーは道路を見上げ、急にショックを受けたような表情に見える。

同じく先月のテスラの事故では、市販されている「モデルX」が半自動運転機能「オートパイロット」で走行中に衝突事故を起こし、ドライバーが死亡した。同社によると、ドライバーは直前にハンドルを握るよう警告を受けていたという。

テスラのような一部の半自動運転機能を備えた車両は、ドライバーが車線から外れないように、あるいは一定の車間距離を維持するように支援するさまざまなテクノロジーを採用している。そのようなシステムは、音を出したりハンドルを振動させたりして警告を出し、ドライバーの注意を引いている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪中銀、カード決済に課されるサーチャージの廃止を提

ビジネス

日経平均は4日ぶり反発、AI関連堅調 金利上昇は上

ワールド

中国、「中央都市工作会議」10年ぶり開催 都市開発

ビジネス

午後3時のドルは147円半ばで上昇一服、米CPI控
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 2
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 3
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 4
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 5
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 6
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 7
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 10
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中