最新記事

核戦力

北朝鮮はもうすぐ米本土を核攻撃できる──英国防省

2018年4月9日(月)14時30分
クリスティナ・マザ

北朝鮮がICBMに核弾頭を搭載する技術を獲得するのはまだ先だと思われていたが KCNA/REUTERSS

<金正恩が米朝首脳会談をこのタイミングで望んだのは、「交渉上自分たちが有利な立場に立てることを知っていたから」だ>

北朝鮮は早ければ今年の7月23日までに、米本土を核攻撃する能力を獲得する可能性がある──。イギリス軍のトップがそう警告していたことが明らかになった。

イギリスのアール・ハウ国防相は1月23日、北朝鮮が約6~18カ月以内に米本土を核攻撃する能力を持つ可能性がある、と英議員らに報告。その分析結果をまとめた報告書が4月5日に公表された。それによれば、早ければ7月23日までに米本土への核攻撃が可能になるという。英軍関係者は米ニュースサイトのビジネス・インサイダーに対し、1月に報告した日時に変更はないと語った。

ドナルド・トランプ米大統領は来る5月、北朝鮮の最高指導者、金正恩朝鮮労働党委員長との初の米朝首脳会談を実施する見通しだが、会談で具体的にどんな成果が得られるかは不透明だ。トランプは北朝鮮の完全な非核化を目標に掲げるが、多くの専門家はほぼ不可能だと見ている。北朝鮮は核保有している方が、交渉を有利に進められるからだ。

北朝鮮が有利

「北朝鮮がアメリカとの直接対話に前向きになった理由の1つは、今は自分たちの方が強い立場になりつつある、と感じているからだ。金はすでに核兵器の『完成』を宣言している。たとえ技術的には未完成でも、少なくとも紙の上は、アメリカを核攻撃するのに必要なあらゆる技術を手に入れた、ということだ」と、米ワシントンにあるシンクタンク「センター・フォー・ザ・ナショナル・インタレスト」の防衛研究ディレクター、ハリー・カジアニスは本誌に語った。

「もしそれが事実なら、金が今になってアメリカに直接対話を呼び掛けてきたのも納得がいく。金は有利に取引を進められるだろう。もし会談が本当に行われれば、の話だが」

昨年、トランプと金が互いに威嚇し合っていた頃、北朝鮮は核実験や新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を繰り返した。北朝鮮のミサイルはアメリカ本土に到達可能だ、と専門家は警告している。ただし北朝鮮は、それらのミサイルに核弾頭を搭載する技術をまだ獲得できていないとされている。

(翻訳:河原里香)

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

豪2位の年金基金、発電用石炭投資を縮小へ ネットゼ

ビジネス

再び円買い介入観測、2日早朝に推計3兆円超 今週計

ワールド

EUのグリーンウォッシュ調査、エールフランスやKL

ワールド

中南米の24年成長率予想は1.4%、外需低迷で緩や
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 8

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 9

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 9

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中