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中国の米国産大豆への追加関税 国内の消費者物価を押し上げ?

2018年4月6日(金)15時43分

飼料メーカーの一部は、大豆ミールに代わる原材料探しに動くなど、密かに対策を進めている。飼料メーカーは中国国内でだぶついているトウモロコシやトウモロコシ蒸留かす(DDGS)、エタノール生産の副産物、菜種、綿の実などの配合比率を高めるかもしれない。

ただ、家畜用飼料のタンパク質の水準を維持するのは難しい。DDGSの配合比率は20%程度が限界で、菜種も飼料に不向きの物質を含むことから豚用飼料としては5%が上限。しかも雌豚や子豚には与えられない。

飼料メーカーは製品の供給が細って製品価格が上がり、中国の主な食材である豚肉が値上がりし、物価全体を押し上げるのではないかと危惧している。

既にブラジル産大豆の輸出価格は過去最高値を付け、国内では大豆と大豆ミールの先物価格が上昇した。

飼料メーカーの幹部は「中国に通商紛争をエスカレートしてほしくない」と述べ、価格上昇や飼料の配合比率調整の難しさを吐露。「ブラジル産の輸出は通常は9月ごろに終わり、10月から3月にかけて米国産が出回る。その時にブラジルからしか輸入できなかったら、どうやって大豆を手に入れたらよいのか」と嘆いた。

(Josephine Mason記者、Hallie Gu記者)

[北京 4日 ロイター]


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