最新記事

移民

トランプ「メキシコ国境の壁ができるまで米軍を派遣する」は本気か

2018年4月5日(木)16時30分
グレアム・ランクツリー

壁のプロトタイプを視察するトランプ。これを全長3000キロの国境に建設したいのだが…… Kevin Lamarque-REUTERS

<公約の柱である「メキシコ国境の壁」建設が一向に進まないことに業を煮やし、軍隊を出動させると宣言したが>

不法入国を阻止するためメキシコとの国境地帯に米軍を派遣すると宣言したドナルド・トランプ米大統領。追い討ちをかけるように翌日の4月4日朝、「強固な措置」を取るとツイートした。

「メキシコとアメリカの国境の治安確保のため軍隊派遣を準備している」──トランプが最初にそう言い放ったのは4月3日に行われたバルト3国首脳との共同記者会見の場だ。

トランプはその日にジェームズ・マティス米国防長官と具体策を協議する予定だと述べ、「国境の壁ができて、警備体制が確立されるまで、軍隊にわれわれの国境を守らせる」と誓った。

公約実現に焦り

2016年の大統領選中、国境の壁を建設し、その費用をメキシコ側に負担させることを公約の目玉に掲げたトランプは、その計画が一向に進展しないことに苛立ちを募らせている。

だが、現役の米軍部隊を国内の法執行のために派遣するには議会の承認を得なければならない、と専門家は指摘する。かといって国境のメキシコ側に米軍を出動させれば、侵略行為とみなされると、ジュリエット・カイエム元国土安全保障次官補はCNNに語った。

メキシコ国境に米軍を派遣するのは「オバマもブッシュもやったことだ」とトランプは言うが、バラク・オバマ前大統領やジョージ・W・ブッシュ元大統領が派遣したのは、国家警備を任務に数える州兵で、それ自体は珍しいことではない。

「トランプは州兵と連邦軍を混同している」と、カイエムは言う。「米軍は、法執行の目的では使えない」

だがトランプは目下、NPOの「プエブラ国境団」に率いられてアメリカ入国を目指す中米移民の「キャラバン」を阻止することに躍起になっている。

トランプは4月3日、ホンジュラスから約1100人の不法移民からなるキャラバンがアメリカを目指して北上中だとツイートした(プエブラ国境団は、目的地はメキシコ・シティー郊外のプエブラだと主張している)。

「メキシコとカナダの国境は非常に堅固だが、アメリカの法律はきわめて弱い」と、トランプはツイートで嘆く。

不法移民のほうからお断り

しかしトランプの就任後、多くの不法移民がアメリカから国境を越えてカナダに逃げ、難民申請をしたのもまた事実だ。

国境の壁はなくても、トランプ就任後、アメリカに流入する不法移民は減っており、不法入国による逮捕者は40%減っている。

それでもトランプは象徴的な公約である壁の建設費が捻出できないことに腹を立てている。

2月に1兆3000億ドルの包括的歳出法案が可決されたが、国境警備に充てられる予算はわずか16億ドル。壁建設の費用としてトランプが求めていた180億ドルに遠く及ばない。

このまま壁が建設できない場合、トランプはどんな過激な手を使おうとするのだろうか。

ニューズウィーク日本版 ガザの叫びを聞け
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月2日号(11月26日発売)は「ガザの叫びを聞け」特集。「天井なき監獄」を生きる若者たちがつづった10年の記録[PLUS]強硬中国のトリセツ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ANA、エアバス機不具合で30日も6便欠航 2日間

ビジネス

アングル:「AIよ、うちの商品に注目して」、変わる

ワールド

エアバス、A320系6000機のソフト改修指示 A

ワールド

アングル:平等支えるノルウェー式富裕税、富豪流出で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 2
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 3
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場の全貌を米企業が「宇宙から」明らかに
  • 4
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 5
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 8
    香港大規模火災で市民の不満噴出、中国の政治統制強…
  • 9
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 8
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 9
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中