最新記事

中国

安倍首相の対北政策と日米首脳会談を酷評する中国

2018年4月24日(火)17時30分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

6者会談の関係国の内、「対話路線」を重視していないのは安倍だけになってしまったことに注目しなくてはならない。

*以上が、論説委員の激しい安倍批判である。*

この報道の後に、安倍首相は22日に開催された拉致被害者家族会や支援団体「救う会」による「国民大集会」に出席し、「南北、米朝首脳会談の際に拉致問題が前進するよう、私が司令塔となって全力で取り組む」と語った。

これに対して拉致被害者の家族である蓮池透さんがツイッターで「司令塔?この期に及んで。どうやって?」と書き込んで、安倍首相の発言と拉致問題への取り組みを批判している。

その意味では、拉致問題に関するCCTV論説委員の解説と一脈通じるものがあり、複雑な気持ちで拉致被害者家族のツイッターを読んだ。

なお、CCTVのこの解説に関してリンク先を探したが見つからず、その傍証として、文章化されているCCTVの類似の記事をご紹介したい。

CCTVウェブサイトが日米首脳会談を酷評

CCTVのウェブサイト「央視網」(「央視」は「中央電視台」の略で、「網」はネット、ウェブサイトの意味)は「安倍は"越頂外交"により窮地に  トップ・ギャンブルは危うく"トランプ・金会談"で失敗するところだった」というタイトルで長い報道をしている。

ここで「越頂外交」とは「同盟国を裏切って、対立国と裏取引をする」という意味だ。「トップ・ギャンブル」というのは、「安倍首相が日米首脳会談を行うに当たり、一種の危ない賭けに出た」ということを指している。

その内容は、実に多岐にわたり非常に長いので、興味のある方はリンク先をお目通し頂くことにして(写真が多く、簡体字だが漢字なので、それとなく推測できる)、ここではこのページで扱っているテーマだけを個条書きにするに留めたい。以下に概要を個条書きで示す。

1.米朝関係は急激な転換を見せ、日米間には貿易摩擦もあるので、安倍は不安を感じ、日米首脳会談に対して賭けに出た。

2.ところが日米首脳会談中、トランプは突然アメリカの非常に高いレベルの高官が北朝鮮と会談していると述べ、安倍を驚かせた。トランプと金正恩との電話会談などが既に行なわれてしまったのかと、アメリカのメディアも色めきだった。しかし直後に、それが国務長官に就任することになっているポンペオCIA長官であると、トランプ自身がツイッターで暴露し話題をさらった。安倍の日米トップ会談で日本がリードしようとしたギャンブルは、危うく完全な失敗に終わるところだった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、方向感欠く取引 来週の日銀

ビジネス

米国株式市場=3指数下落、AIバブル懸念でハイテク

ビジネス

FRB「雇用と物価の板挟み」、今週の利下げ支持=S

ワールド

EU、ロシア中銀資産の無期限凍結で合意 ウクライナ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナの選択肢は「一つ」
  • 4
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 5
    【揺らぐ中国、攻めの高市】柯隆氏「台湾騒動は高市…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 8
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 9
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 7
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中