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森友問題究明の佐川氏国会喚問、文書改ざん「局内で」 官邸関与を否定

2018年3月27日(火)13時21分

3月27日、佐川宣寿前国税庁長官は、参院予算委員会の証人喚問で、森友決裁文書14件の書き換えについて「理財局の中で行われた」とし、安倍晋三首相や麻生太郎財務相からの指示はなかったとの認識を示した。参院予算委員会で証言する佐川氏(2018年 ロイター/Toru Hanai)

衆参両院の予算委員会は27日、森友疑惑究明に向け、当時理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官に対する証人喚問を実施した。決裁文書改ざんについて、佐川氏は「理財局の中で行われた」と証言。安倍晋三首相や麻生太郎財務相、首相官邸幹部らの関与は否定した。

証人喚問は昨年3月の籠池泰典・森友学園前理事長以来、約1年ぶり。佐川氏は冒頭、改ざんをいつ認識したかについては「捜査対象で刑事訴追される恐れがある」と述べ、証言を拒否した。

一方、国会の混乱や行政の信頼を揺るがした点に関し、佐川氏は「申し訳なかった」と陳謝。理財局長当時の国会答弁に触れ、「丁寧さを欠いていたのは間違いない。交渉記録に関して財務省の文書管理規則だけを述べた点が丁寧さを欠いた。連日連夜の作業で休めず、余裕がなかったのが実態」と当時を振り返った。

文書改ざんを巡っては、麻生財務相が12日の記者会見で、最終責任者は佐川氏とし、同氏より上の立場の幹部への報告はなかったとの認識を示した。

証人喚問で佐川氏は「責任はひとえに私にある」「当時の担当局長として大変重い責任がある」などとし、文書改ざんは財務省理財局内で行われたと証言。文書改ざんに関し「理財局以外や首相官邸に報告することはない」と述べた。

財務省の太田充理財局長が、改ざんへの佐川氏の関与の度合いは大きいとした国会答弁については、「財務省の調査の中身を知らないので、コメントする立場にない」と語った。

また、改ざん前文書に記載のあった「特殊性」などの文言について「官邸の関与を示しているものではない」「官邸からの指示も協議も相談もなかった」と明言。首相官邸幹部や麻生財務相も含め、政治家からの関与を重ねて否定した。

もっとも、官邸の関与がなかったと断言できる根拠については「政治家・官邸から書き換えの指示があれば(当時の)局長の私に上がってくるが、そのようなことはなかった」と説明するにとどめた。

森友学園との土地売買交渉時に財務省理財局長だった前任の迫田英典氏から、森友学園問題について「一切、引き継ぎを受けていない」とも述べた。

改ざん前文書に記載された安倍首相夫人の昭恵氏の名前を見たのかとの質問にも「捜査の範囲に入っている」として証言を拒否した。

近畿財務局職員の死亡に関し「亡くなった経緯については一切承知していない」としつつ「大変残念で、心より冥福を祈りたい」述べた。

また、証人喚問が実体解明につながったかとの質問に対しては、「書き換えの経緯を答えていないので、解明になっていない」と認めた。

[東京 27日 ロイター]


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