最新記事

トランプ政権

ティラーソン米国務長官の更迭、北朝鮮巡るトランプとの「温度差」引き金に

2018年3月16日(金)17時41分

3月14日、トランプ米大統領(右)がティラーソン国務長官(左)を更迭したのは、北朝鮮の核問題への対応を巡る意見の相違が主な要因だったことが、内部事情に詳しい複数の関係筋の話で明らかとなった。ワシントンで昨年12月撮影(2018年 ロイター/Jonathan Ernst)

トランプ米大統領がティラーソン国務長官を更迭したのは、北朝鮮の核問題への対応を巡る意見の相違が主な要因だったことが、内部事情に詳しい複数の関係筋の話で明らかとなった。

ティラーソン氏が当初から北朝鮮との対話を支持していた一方、トランプ大統領は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長から米朝首脳会談の申し出を受ける以前は、同国に最大の圧力をかけ続けることを望んでいたという。

これにより、ティラーソン氏が北朝鮮への譲歩に前向き過ぎるとの懸念が浮上した、と関係筋は明らかにした。

「彼(トランプ大統領)が全幅の信頼をおける誰かを国務長官のポストに置かなければならなかった」と、米高官は言う。

関係筋によると、トランプ大統領はこの数週間、ティラーソン国務長官の後任にポンペオ中央情報局(CIA)長官を、また、新たなCIA長官にはハスペル同副長官を充てる人事変更の手はずを整えていた。

主な狙いは、米朝首脳会談の実現に向けて動き出す前に「地ならし」をしておくことだった。

トランプ氏と金氏は、北朝鮮のミサイル・核プログラムを協議するため、5月末までに首脳会談を行うことで合意している。

北朝鮮による米朝首脳会談の申し出に関し、ティラーソン氏は蚊帳の外に置かれていた。その申し出を伝えるため訪米した韓国代表団と、トランプ大統領が会談し承諾した8日、ティラーソン長官はアフリカを初訪問中だった。

その翌日、ティラーソン氏に辞任する必要があると伝えるよう、トランプ大統領がケリー大統領首席補佐官に指示したと、複数のホワイトハウス当局者は明かす。

ある関係筋によれば、ケリー氏はティラーソン氏をできるだけ守ろうとしたが、トランプ氏はさまざまな問題でティラーソン氏が自身に逆らう傾向があることに対して嫌悪感を強めており、友人らにティラーソン氏をクビにすると話していたという。

そのときナイロビに滞在し、チャドとナイジェリア訪問を控えていたティラーソン氏は、解任発表前に米国に帰国することを要望した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日本の経済成長率予測を上げ、段階的な日銀利上げ見込

ビジネス

今年のユーロ圏成長率予想、1.2%に上方修正 財政

ビジネス

IMF、25年の英成長見通し上方修正、インフレ予測

ビジネス

IMF、25年の世界経済見通し上方修正 米中摩擦再
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 3
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃をめぐる大論争に発展
  • 4
    車道を一人「さまよう男児」、発見した運転手の「勇…
  • 5
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 8
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 9
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 10
    1歳の息子の様子が「何かおかしい...」 母親が動画を…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 10
    トイレ練習中の2歳の娘が「被疑者」に...検察官の女…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中