最新記事

トランプ政権

国務長官をクビにしたトランプ、決定済み政策の停滞にいら立ち

2018年3月15日(木)09時27分

3月13日、トランプ氏(右)によるティラーソン国務長官(左)更迭は、同氏が好ましいと考える政策を、当初自ら選んだアドバイザーがなかなか実行しない点に、いら立ちを強めていることを示す新たな証拠だ、と複数の側近は話す。ワシントンで昨年12月撮影(2018年 ロイター/Jonathan Ernst)

トランプ米大統領が就任して間もなく1年2カ月になるが、この間ホワイトハウスは常に混乱のるつぼにあった。そして忠誠心を持つ人物が起用され、反対者は去り、トランプ氏自身は通商問題から対北朝鮮外交に至るまで、直観のおもむくままにこれまでになく迅速な決断を下している。

トランプ氏による13日のティラーソン国務長官更迭は、同氏が好ましいと考える政策を、当初自ら選んだアドバイザーがなかなか実行しない点に、いら立ちを強めていることを示す新たな証拠だ、と複数の側近は話す。

側近らの見立てでは、トランプ氏は引き続き政権中枢内で意見がぶつかり合うこと自体は歓迎するが、いったん決定を下した後は速やかに遂行してほしいと望むという。

トランプ氏の下でホワイトハウスのストラテジストを以前務めたアンドルー・スラビアン氏は「現在まで、ホワイトハウス内には健全なイデオロギー上の多様性が存在していると思う。しかし変わったのは、トランプ氏がもはや、部下たちがのろのろ仕事をしたり、自身が打ち出した政策の進行を妨害するのを、許さなくなっている点だ」と述べた。

ホワイトハウスの政策判断事情に詳しいかつてのトランプ氏の選挙陣営幹部も、トランプ氏は「活発な内部の論戦」が行われるのと同時に、最終決定に誰もが足並みをそろえることを期待していると説明する。

トランプ氏は先週、各方面からの反対にもかかわらず、鉄鋼とアルミニウムに高い関税を課し、輸入を制限することを正式に発表。通商やその他の問題で意見を異にしていたゲーリー・コーン国家経済会議(NEC)委員長が辞任する事態になった。

さらに韓国の特使と会ったトランプ氏は、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との会談に合意した。数カ月前には、必要なら北朝鮮の体制を「全面的に破壊する」と示唆していた。

その後、米国の対外政策をもっと穏健にするよう助言していたティラーソン国務長官は更迭され、後任にはトランプ氏への忠誠度が高いマイク・ポンペオ中央情報局(CIA)長官を充てる方針が、トランプ氏のツイッターで発表された。

トランプ氏の非公式アドバイザーになっているニュート・ギングリッチ元下院議長は「トランプ氏は自分が望む行動に大筋で同意し、なおかつ同氏をチームリーダーとして受け入れる人物を求めている」と指摘した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米財務省、中長期債の四半期入札規模を当面据え置き

ビジネス

FRB、バランスシート縮小ペース減速へ 国債月間最

ワールド

米、民間人保護計画ないラファ侵攻支持できず 国務長

ビジネス

クアルコム、4─6月業績見通しが予想超え スマホ市
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 8

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 9

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 10

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    「誰かが嘘をついている」――米メディアは大谷翔平の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中