最新記事

介護

介護を担う米国の若者たち 恋愛なし友達付き合いなしの自らを救う5つの方法

2018年3月6日(火)18時01分


●自身のケアも重要

「罪の意識にさいなまれる」と、ティファニー・マーカムさん(33)は言う。マーカムさんは2015年、認知症の父親の世話をするため、同居を始めた。

今年1月に父親が亡くなるまで、マーカムさんは毎朝、その日の着る洋服を並べてから父親を起こし、着替えを手伝い、薬を飲ませてデイケアセンターに行く準備を手伝った。その間、フルタイムで仕事をこなし、夜帰宅してから再び父親の世話をした。

できることをすべてやっても、マーカムさんは、もっとやれないことに罪悪感を抱えていたという。

「不満だったし、不満で罪悪感を抱えていたことについても、いやな気持になった」と、マーカムさんは言う。

マーカムさんには、セラピーと抗うつ薬が役に立った。また、支援グループに対して、自分の正直な気持ちを話すことを勧めるという。

自らをケアすることは極めて重要だ。介護者が他者に集中し過ぎると、自身のニーズを無視して燃え尽きてしまいかねない。十分に休養し、可能な時には休暇を取ることも大事だ。

●おカネの見通しを立てよう

家族の介護のために休職などを強いられたミレニアル世代は、事前準備がなければ、退職後も含めた将来に向けて自分の資産を用意できないことがあると、非営利団体「全国介護者連合」のグレース・ホワイティング会長は言う。「ミレニアル世代も年を取るのだから、経済的なことを計画する必要がある」

アルツハイマー協会などが、介護者が長期的な家計の安定をはかるためのリソースを提供している。

●差別的扱いを禁じた州法を知ろう

AARPによると、平均的なミレニアル世代の介護者は働いており、勤務時間は週34.9時間だ。だが、介護をしていることで、キャリアのステップアップが遅れることもある。

「ミレニアルは、キャリアを築こうとしている。介護のために休んだり遅刻する必要が生じると、介護が仕事上の役割に影響し始めたことになる」と、前出のルイス氏は言う。

介護者を職場での差別から守る法律は、州により異なる。AARPのサイトでは、介護者の権利について情報を掲載している。

●友人と比較しない

ミレニアル世代の介護者の生活は、それぞれ異なった形で変化していく。他者と自分を比べることは避けよう。

介護を続けるためにオンラインで大学の学位を取得した前出のビートンさんは、友人と異なるタイミングで人生の節目が来ても構わないと、自らに言い聞かせている。

ビートンさんは、自分の母親が永遠に生きる訳ではないと分かっていた。「いまは、これが人生でやるべきことなんだ」と、自らに言い聞かせていたという。

(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

Andrea Januta

[ニューヨーク 22日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米人員削減、11月は前月比53%減 新規採用は低迷

ビジネス

英中銀、プライベート市場のストレステスト開始 27

ワールド

中国、レアアース輸出ライセンス合理化に取り組んでい

ワールド

ウクライナ南部に夜間攻撃、数万人が電力・暖房なしの
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国」はどこ?
  • 3
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 4
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 8
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 9
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 10
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中