最新記事

関税

トランプ、貿易相手国に「相互税」推進へ 日本も標的に?

2018年2月13日(火)12時17分

2月12日、トランプ米大統領(写真)は、米国製品に関税を課している諸外国に対し、「相互税(reciprocal tax)」を推進する考えを示した。ワシントンで1日撮影(2018年 ロイター/Yuri Gripas)

トランプ米大統領は12日、米国製品に関税を課している諸外国に対し、「相互税(reciprocal tax)」を推進する考えを示した。ただ、当局者らは、課税の構造や対象となる製品について詳細を明らかにしなかった。

大統領はインフラ投資計画を発表するイベントで記者団に「人々が米国に来て好き勝手に金を盗み、米国人に膨大な関税や税金を課すことを認める一方で、相手国には何も課税しないという状況を続けるわけにはいかない」と強調した。

米国は「中国、日本、韓国などあまりにも多くの国に対して」多額の損を出しているとした上で「これらの国々は過去25年間好き勝手にしてきたため多少の困難を強いることになるが、われわれは政策を変更する」と表明した。

諸外国に対しは「相互税」を課すと説明。「一部はいわゆる同盟国だが、貿易においては同盟国ではない」とした。

ただ、米国の関税率を主要貿易相手国の水準まで引き上げることを意味するのかどうかは明言しなかった。政権当局者らの説明はまだない。

トランプ大統領は米オートバイメーカーのハーレーダビッドソンを不公正貿易の一例に挙げた。ハーレーは、タイ政府が米国製オートバイに60%の関税を課していることなどを理由に、タイ国内で工場を建設している。

米国はこれまで世界貿易機関(WTO)に対し、3.5%と比較的低い実行関税率を約束してきた。中国の9.9%、欧州連合(EU)の5.2%を下回る水準だ。一部の製品では格差はさらに広がっており、たとえば乗用車は米国の関税率が2.5%なのに対し、中国は25%、EUは10%となっている。

トランプ氏が、昨年の税制改革を巡る協議で議会共和党が採用を拒否した「国境調整税」を復活させる意向なのかどうかは不明。

トランプ大統領は昨年4月、フォックス・ビジネス・ニュースに対し、国境調整税の名称は好ましくないと指摘し、「相互税」と呼べば誰の怒りも買うことはないと述べていた。

トランプ氏は、この日のイベントに同席したロス商務長官に、相互税の案に賛成するかと質問。ロス氏は、「もちろん」と答えたうえで、米国は余りにも長い間、諸外国に対して通商上で譲歩してきたと指摘した。「一方的に多くを譲歩してきたのだから、当然取り戻す必要がある」との考えを示した。

[ワシントン 12日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、年間では2017年以来の大

ワールド

原油先物、25年は約20%下落 供給過剰巡る懸念で

ワールド

中国、牛肉輸入にセーフガード設定 国内産業保護狙い

ワールド

米欧ウクライナ、戦争終結に向けた対応協議 ゼレンス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 5
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 8
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中